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2024/05/27
FIT・FIPの事業計画認定で知っておきたい保守点検義務(O&M)

太陽光発電設備の導入にあたっては、機能や安全性を確保するために、保守点検及び維持管理を行うことが法律で義務付けられています。

2017年の再エネ特措法の改正により、FIT制度適用の太陽光発電設備は義務化対象となりました。

また、現在運用されているFIT・FIP制度の事業計画認定を受けるにあたっても、発電事業計画を作成する中で、「保守点検及び維持管理」について計画を定めておくことが求められます。重要な要素となるため、必要な体制を整備し、実施していくことが求められます。太陽光発電設備導入後に自社での保守点検及び維持管理の実施が難しい場合には、O&M(オペレーション&メンテナンス:運用保守)サービスについてもご紹介しますので是非ご検討ください。

FIT・FIPの事業計画認定とは?

FIT・FIPの事業計画認定とは?

FIT・FIP制度の事業計画認定について知るには、事前にその意図や成り立ちについて理解しておくことが重要です。以下から、事業計画認定の概要や経緯、認定基準などについて解説します。

事業計画認定のために必要な安定と効率的な運用

日本において太陽光発電の電力を売電するためには、単に発電設備を設置するだけでは不十分です。これは、再生可能エネルギーの普及促進を目的として設けられた再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(再エネ特措法(FIT・FIP制度))において、売電事業を適正に実施するため、国による正式な認定が必要であるためです。このプロセスを旧称で「設備認定」といいます。

設備認定の手続きでは、経済産業省によって発電設備が法令に則った適切な仕様を満たしているかどうかの審査が行われます。そしてこの認定は、電力会社との売電契約を結ぶ際の前提条件となります。つまり、事業者が電力を販売するためには、まず設備が国から適切と認められる必要がありました。

2017年の再エネ特措法の改正では、設備認定の枠組み自体が「事業計画認定」へと変更されました。これにより、太陽光発電設備の技術的な基準だけでなく、発電事業計画全体の実現可能性や持続可能性が審査の対象となりました。この変更の意図は、単に発電設備が規格を満たしているかだけではなく、事業計画が総合的に再生可能エネルギーとしての役割を果たせるかどうかを重視する点にあります。

新たな事業計画認定の導入は、太陽光発電事業が長期的に安定し、かつ効率的な運用が行われることを担保する狙いがあります。これは再生可能エネルギー事業が社会的な責任を果たし、かつ経済的に持続可能であることを保証するための措置といえるでしょう。事業者にとっては、より詳細な計画立案とその実行が求められることになりますが、これにより再生可能エネルギー市場の健全な発展と、消費者への安定した電力供給が期待されています。

主な認定基準

FIT・FIP制度の事業計画認定を受けるためには、前提として発電事業計画が以下のような認定基準をすべて満たしていることが求められます。

関係許認可の取得

災害の危険性に直接影響を及ぼし得るような土地開発に関わる①森林法の林地開発許可、②宅地造成及び特定盛土等規制法の許可、③砂防三法(砂防法・地すべり等防止法・急傾斜地法)の許可を認定申請までに取得したこと。

土地の確保

再生可能エネルギー発電設備を設置する場所について所有権その他の使用の権原を有するか、又はこれを確実に取得することができると認められること、調達期間が終了するまでの間、同一の設置場所で発電を行う計画であること

分割禁止

特段の理由がないのに一の場所において複数の再生可能エネルギー発電設備を設置しようとするものでないこと

設備の決定

認定の申請に係る再生可能エネルギー発電設備が決定していること

接続同意

再生可能エネルギー発電設備を電気事業者が維持し、及び運用する電線路に電気的に接続することについて電気事業者の同意を得ていること

保守点検及び維持管理

再生可能エネルギー発電設備を適切に保守点検及び維持管理するために必要な体制を整備し、実施するものであること

設備の廃棄

再生可能エネルギー発電設備の廃棄その他の認定の申請に係る再生可能エネルギー発電事業を廃止する際の発電設備の取扱いに関する計画が適切であること

関連法令の遵守

関係法令の遵守関係法令(条例を含む)の規定を遵守すること

引用:再生可能エネルギー FIT・FIP制度ガイドブック2024年版|経済産業省 資源エネルギー庁

保守点検義務が課せられる対象事業者は?

保守点検義務には、太陽光発電設備の安全と効率を確保し、再生可能エネルギーの持続可能な利用を促進するという目的があります。その上で、太陽光発電設備のメンテナンス義務は、FIT・FIP認定を受けた事業者全てに適用されます。

この義務により、FIT・FIP認定設備は定期的なメンテナンスが必要とされます。また、これらの活動の記録を保持することも求められています。

保守点検及び維持管理が追加された背景

再エネ特措法は、2012年の開始以来、太陽光発電の普及に大きな役割を果たしました。

しかしながら、太陽光発電の普及に伴い、計画段階で保守点検及び維持管理計画や体制を検討していなかったため、運転開始後に発電電力量の低下や不具合が発生しているにもかかわらず、発見や対処が遅れる、あるいは放置されたままになっているという事例も浮上しました。国民の電気代と一緒に集められる再エネ賦課金(再生可能エネルギーの電力を買い取る資金)は、適正に使用されなくてはなりません。そこで2017年の再エネ特措法の改正では、太陽光発電設備の適切な運用を確保するため、点検・メンテナンスが義務化されました。

O&Mサービスの増加

太陽光パネルは比較的故障が少ない製品ですが、屋外設置のため物理的ダメージを受けたり、汚れや周囲の植生による影響で発電効率が落ちたりすることがあります。これらは発電量の減少だけでなく、発電停止や火災リスクをもたらす可能性があります。太陽光パネルは常に発電を続けるため、トラブルを放置すると発熱や漏電の原因となり得ます。

このような背景から、太陽光発電設備の安全と効率を維持するため、定期的な点検・メンテナンスの重要性が高まり、O&Mサービスの需要が急増しました。O&Mサービスは発電所の監視を行い、異常が検出された際に迅速な対応を行うなど、発電効率の維持とリスク管理を支援します。結果として、O&Mサービスは太陽光発電事業者の運用の負担を軽減し、より安定した発電を維持できるようになりました。

太陽光発電設備の保守点検・メンテナンスについて

太陽光発電設備の保守点検・メンテナンスについて

事業計画認定についての大枠を理解した後は、より具体的な内容についても考えていきましょう。以下からは、太陽光発電設備における保守点検・メンテナンスの内容について、その概要とポイントを解説します。

機器・部材の保守点検

太陽光発電設備の保守点検では、パネルの破損や汚れ、固定状態、ケーブルとコネクタ、パワーコンディショナの確認が重要です。

パネルの破損や汚れは発電効率を落とし、火災リスクをもたらす可能性があります。固定金具の損傷や屋根への影響も確認が必要です。ケーブルやコネクタの劣化や損傷は安全上の問題を引き起こすことがあり、パワーコンディショナは長期使用により性能低下を起こすこともあります。

これらの点検は、効率的な発電と設備の安全性を保つために不可欠です。

電圧・抵抗の保守点検

太陽光発電設備の保守点検では、電圧や抵抗のチェックが重要です。

パネルの電圧などの発電状態は測定器を用いて、または遠隔モニターでの発電記録により評価します。絶縁抵抗は特別な測定器で点検し、漏電や感電のリスクを確認します。接地抵抗の点検は、機器や人への安全を確保するために実施され、これらの点検により設備の正常な運用が保たれます。

導入後のメンテナンス

太陽光発電設備は導入後もプロの業者による定期メンテナンスが必要です。自己流のメンテナンスは性能を維持できないだけでなく安全性に欠ける可能性があるため、避けてください。

メンテナンス作業には、パネル、固定金具、ケーブルやコネクタ、パワーコンディショナの点検と交換、清掃が含まれます。これらの作業を適切に行うことで発電効率を保ち、安全に設備を運用できます。

ソーラーフロンティアのO&Mサービス

ソーラーフロンティアは、2013年から日本全国の太陽光発電設備の保守・維持管理を手掛けてきた豊富な経験と知識を持っています。私たちのO&Mサービス「フロンティアガード」は、お客様の太陽光発電設備の安定稼働を守るため、確かな技術力でサポートします。

常時監視

当社の技術員が遠隔モニターを通じ、お客様の発電設備を監視。トラブルを早期に発見します。

メーカーとして培った技術力と分析力

太陽電池メーカーとして培ってきた技術と分析力を駆使し、問題発生時には迅速かつ的確に対応。お客様の設備を最適な状態に維持します。

窓口の一元化

お客様の窓口は当社に一元化。万が一の際は、当社が関係各社と連携し、お客様の問い合わせの手間を削減。安心のサポート体制を提供します。

豊富なサービスオプション

故障設備交換/除草作業/清掃作業/ドローン検査

太陽光発電設備O&Mサービスの詳細はこちらから

https://www.solar-frontier.com/jpn/industrial/om-service/

2024/05/27
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