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2021.10.12

プレスリリース

ソーラーフロンティア株式会社の事業構造改革について

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ソーラーフロンティア株式会社の事業構造改革について

記者各位

出光興産株式会社
ソーラーフロンティア株式会社

ソーラーフロンティア株式会社の事業構造改革について

出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:木藤 俊一、以下:「当社」)は、当社の100%子会社であるソーラーフロンティア株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:渡辺 宏、以下:「SF社」)の次世代型システムインテグレーターへの転換を図る事業構造改革を下記のとおり推進し、カーボンニュートラル(以下「CN」)の実現に貢献してまいります。

1.事業構造改革の背景

政府による2050年CNの実現に向けた動きは加速しており、第6次エネルギー基本計画(案)(以下「エネ基」)においても再生可能エネルギー、とりわけ太陽光発電の拡大が示されています。当社はこれを絶好のビジネスチャンスと捉え、SF社で培ってきた40年に及ぶ事業経験を最大限に生かし、太陽光発電に関わる広範なお客様のニーズにお応えできる企業体へ変革することが必要と判断しました。そのため、熾烈な価格競争に陥っている汎用太陽電池パネルの研究・製造に投入している経営資源を、当社およびSF社の独自性が発揮できる成長分野にシフトしてまいります。

2.エネ基達成のための太陽光主力電源化への課題

我が国が太陽光発電を主力電源化していく上で大きく3つの課題があると認識しております。

(1)設置場所の限界
メガソーラー建設に適した用地はほぼ利用されており、近年は建設による森林伐採や土砂災害など地域社会の環境や景観への影響が社会問題になっています。
今後は地域社会と共生した、これまで設置が困難と思われていた場所を開拓していかなければなりません。
(2)発電所の長期安定利用と太陽電池パネルの大量廃棄
日本の太陽光発電は500kW以下の小規模な発電所が全容量の4割を占めており、これらの中には適切なメンテナンスが施されずにFIT期間終了後閉鎖される発電所の数は相当数に上ることが懸念されます。FIT期間終了後も発電所が維持されなければ、2050年のCN実現に必要な再エネ電力の供給量に支障をきたします。
一般的に太陽電池パネルの保証期間は20年ですが、発電所のメンテナンスを定期的に実施すればより長期間利用できるようになります。加えて問題を早期に発見し新たな太陽電池パネルや機器に交換していけば、太陽電池パネル寿命に関わらず発電所を存続利用することが可能です。
また、太陽電池パネルも製品としての寿命を迎えると産業廃棄物となり、大量廃棄が社会問題となります。これを解決するためには、最終的に埋め立て処理されるゴミの量を減らすマテリアルリサイクルの仕組みが求められています。
(3)系統電力システムの需給安定化への影響
太陽光発電の普及に伴い系統電力システムの需給安定化への影響が顕在化し、それを回避するために電力会社により出力抑制が実施されています。
太陽光を主力電源として更なる導入を進めるためには、昼間にしか発電せずしかも天候に左右される太陽光発電を、系統電力システムと共存させ安定電源として活用できる仕組みが求められています。

3.事業構造改革の内容

(1) 次世代型システムインテグレーターへの進化
SF社は、太陽光発電を主力電源化するために、前記の3つの社会課題に具体的な解決策を提示できる次世代型システムインテグレーターへ進化していきます。

■ 発電システム設計・EPC事業(より多くの場所に設置できるように)
メガソーラーの適地不足が指摘されている中で、エネ基における太陽光発電の導入量目標である100GW超の発電設備を社会に実装していくために、これまで設置できなかった場所も開拓していきます。SF社は、これまで施工費が高く設置を諦めていた陸屋根の建物に従来の半額の工事費で設置可能な新たな工法、既築の大波スレート屋根の葺き替え無しでも設置可能な新工法、駐車場スペースを発電所に変えるビルトインカーポートなどを提供しております。今後、更なる設置場所の拡大につながる、機器、システム、工法の開発を行ってまいります。
■ O&M(オペレーション&メンテナンス)事業、発電所評価・リパワリング事業、太陽電池パネルリサイクル事業(より長く使えるように)
FIT期間は最長20年です。発電所、発電システムの状態を適切に評価して問題を発見し、必要に応じて最新鋭のパネルや機器に入れ替えていくなどメンテナンスを行うことで、発電所や発電システムはパネルの寿命に関係なく利用し続けることが可能となります。SF社では、これまでの6GWを超える太陽電池パネル販売を通して、住宅用から大型メガソーラーまで数多くの発電所のメンテナンスを手掛けてきました。CIS薄膜太陽電池のみならず結晶シリコン系太陽電池も含めた太陽電池パネルの品質評価を通して蓄積されたデータや分析・解析能力を活かして、発電所をより長く安全に安心してお使いいただける、O&M、発電所評価、リパワリングなどのサービスを開発し提供していきます。
また、パネルの発電性能は経年劣化を経てやがて寿命を迎えることから、2030年代にはパネルの大量廃棄が社会的な問題となることが必至です。SF社は最終処分場に持ち込まれる産業廃棄物の削減につながる、低コストで環境負荷の低いマテリアルリサイクル技術の開発に現在NEDOと共同で取り組んでおり、2024年度には太陽電池パネルリサイクルの事業を開始できるよう、マテリアルの用途開発、必要な許認可の手続きやビジネスモデルの開発に取り組んでいきます。
■ 太陽光発電+分散型エネルギーの最適な組み合わせによるエネルギーマネジメントシステム事業の展開(より安定的に使えるように)
太陽光発電で作られる電気は、昼間にしか発電せず、しかも天候に左右されるため、系統電力システムと共存させ安定電源として活用できる仕組みが必要です。
当社およびSF社は太陽光発電のみならず需要側の分散型エネルギーリソースを束ねて制御し地産地消を進めていくことに取り組んでおります。具体的には①オンサイト、オフサイトでの自家消費用途の太陽光発電システム開発、②コーポレートPPA*契約による電力の供給、③太陽光発電と電力需要に加えてEVや蓄電池などの機器を組み合わせたシステム開発、④発電量と需要予測の精度向上など、電気の利用を最適化するエネルギーマネジメントシステムの開発に取り組んでおります。
*Power Purchase Agreement(電力販売契約)の略
■ 汎用型太陽電池パネルの生産からOEM調達への切り替え
汎用型CIS薄膜太陽電池の自社生産体制から結晶シリコン系太陽電池のOEM調達へと移行します。これをふまえ当社およびSF社は国富工場(所在地:宮崎県東諸県郡国富町)でのCIS薄膜太陽電池の生産について、2022年6月末を目途に終了することを本日機関決定しました。

(2)次世代太陽電池の研究開発
CIS薄膜太陽電池の研究開発を出光興産次世代技術研究所に集約し、CISの高付加価値化を目指した次世代太陽電池の研究開発を加速します。具体的には①CISの「高放射線耐性」という優位性を活かせる宇宙空間用途、②電動自動車や通信用ドローンといった移動体への搭載が期待されるタンデム型太陽電池への活用、などです。

4.国富工場について

国富工場におけるCIS薄膜太陽電池の製造は終了しますが、引き続き国富事業所として一部のコーポレート機能を保有しながら、SF社が次世代型システムインテグレーターに転換していく上での中核的拠点として、以下の重要な役割を果たしていきます。
① 太陽光発電システムの販売支援・品質保証・アフターメンテナンス
② エネルギーマネジメントシステムと発電所評価のためのデータ分析・解析
③ エネルギーマネジメントシステムの実証・開発
④ O&M技術開発
⑤ 太陽電池パネルリサイクル
なお、国富工場の一部社員につきましては、当社グループ内他事業所への異動等を予定しています。

現行の中期経営計画において、当社は2030年ビジョンをエネルギーの安定供給と共に社会課題の解決に貢献する「責任ある変革者」と定め、「地球と暮らしを守る責任」としてCN・循環型社会へのエネルギーマテリアルトランジションに取り組むことを掲げています。
SF社においても上記の構造改革を推進し、次世代型システムインテグレーターのリーディングカンパニーを目指します。

以上

【参考】
1.ソーラーフロンティア「次世代型システムインテグレーター」のソリューション事業イメージ

ソーラーフロンティア「次世代型システムインテグレーター」のソリューション事業イメージ

2.次世代太陽電池の研究開発イメージ

次世代太陽電池の研究開発イメージ

報道関係からの問い合わせ先:

ソーラーフロンティア株式会社 コーポレート管理部 広報チーム(米田・伊藤)

【参考情報】
1.ソーラーフロンティア株式会社の概要
代表者名   代表取締役社長 渡辺 宏
主な事業   太陽電池の製造・販売
本社所在地  〒100-0005 東京都千代田区丸の内三丁目1番1号 帝劇ビル
資本金    7,000百万円(2021年3月末現在)

2.国富工場の概要
所在地    宮崎県東諸県郡国富町田尻1815番地
生産製品   CIS薄膜太陽電池
生産開始時期 2011年2月
敷地面積   400,000㎡

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