昨今、企業の太陽光発電活用に注目が集まるものの、高額な設備投資はハードルが高く、導入が難しいと感じている企業は少なくありません。こうした際に活用したいのが、ランニングコストをメインに運用できる太陽光リースモデルです。今回は、太陽光発電をご検討中の企業様に向けて、太陽光リースモデルのメリット・デメリット、他の方法との比較を解説します。
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太陽光リースモデルとは?
太陽光リースモデルとは、需要家とリース事業者との間でリース契約を締結し太陽光発電を行うことです。
リースとは、企業が選択した設備をリース会社が購入し、リース会社がその企業に対して設備を長期間にわたり賃貸するモデルのことを指し、設備の所有権はリース会社が持ちますが、企業は自社で購入した場合と同様に設備を使用することができます。
太陽光発電設備の場合、リース会社は企業が所有する敷地内に太陽光発電設備を設置します。企業は敷地等の提供に加えて、月々のリース料金を支払うことで設備を使用することができます。
太陽光発電の導入方法にはどんなものがある?
上記で解説したリースモデル以外にも、太陽光発電の導入にはさまざまな方法があります。それぞれの方法における違いを以下でご紹介します。
◇契約モデルの種類と比較
自己所有モデル | PPAモデル | リースモデル | |
---|---|---|---|
初期費用 | 必要 | 不要 | 不要 |
物件の所有権 | 自社 | PPA事業者 | リース会社 |
固定資産税負担 | 自社 | PPA事業者 | リース会社 |
動産保険 | 自社加入 (建物の保険に追加) | 付保 | 付保 |
契約期間目安 | 10年前後で 投資回収 | 標準20年 | 標準10年 |
保守 メンテナンス | 必要 | 不要 (電気料金に含む) | 必要 |
特徴 | 自社で設備を所有し、運用保守をしながら発電を行う。 | 発電事業者に敷地を提供し自家消費分の電力を購入する。 | リース契約を事業者と結び、設備を借りる形で発電を行う。 |
上記は一般例であり、契約先により条件が異なることがあります。予めご了承ください。
太陽光リースモデルのメリット
太陽光リースモデルのメリットについて、より深掘りしていきましょう。ポイントとなるのは、初期費用と経費計上による節税、電力の使用です。
◇初期費用ゼロで太陽光発電をスタートできる
前述のとおり、需要家がリース事業者に支払うのは月々のリース料金です。太陽光発電設備を分割で購入しているわけではありません。ローンのような頭金もありませんし、設置費用などもリース事業者が負担する形です。こうした契約形態ですから、初期費用がかからない点は大きなメリットと言えるでしょう。もしも自己所有で太陽光発電をはじめようとした場合、数千万円規模の初期費用がかかることが一般的です。場合によっては、金融機関からの借入も必要になるでしょう。その意味で言えば、銀行の借入枠や自己資金を温存しつつ、金策不要でスピーディーに太陽光発電をはじめられることも利点のひとつです。
◇経費計上による節税効果と会計のシンプル化
自己所有による設備投資の場合には、法定耐用年数で減価償却を行わなければなりませんが、リースによる導入であれば、法定耐用年数より期間を短く設定することで、減価償却を前倒しする効果があります。また、固定資産税の納税義務は設備の所有者であるリース会社にあるため、事務手続きの省力化が可能です。さらに、リース契約は毎月の支払いが一定額となります。費用が平準化されるため、ランニングコストとして把握しやすくなり、資金計画も立てやすくなります。
◇発電分の電気は使用可能
太陽光発電で得られた電気は、自社の事業に利用できます。電力会社から電気を購入していない自家消費分の電気料金が浮くことになります。太陽光リースモデルの経済的メリットを考える際には、この自家消費分の電力使用によるコスト削減額を踏まえて月々のリース料金と比較し、検討することが大切です。
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◇動産総合保険の付保
リース契約には動産総合保険が適用されます。リース期間中は、たとえば、盗難や漏水による破損といった損害に備えることができます。
太陽光リースモデルのデメリット
次に、太陽光リースモデルのデメリットについても見ていきましょう。ここで注視すべきは、契約期間と保守メンテナンス、支払総額です。
◇10年の長期契約で、月々のリース料が固定でかかる
前述のとおり、リース契約は月々の支払いで太陽光発電をはじめられるというメリットがあります。しかし一方で、契約期間は10年と長期になるケースが多い傾向にあります。
◇保守メンテナンスが必要
太陽光発電設備は安全性の観点から定期的なメンテナンスが必要です。そのコストも勘定に入れておく必要があります。
◇最終的な支払総額は購入よりも割高となる
リース契約は月々固定のリース料や経費計上による節税という経済的メリットがあります。しかし、最終的に支払う費用総額は、自社で購入するよりも高くなるのが一般的です。これは、リース料金のなかに設備代金や保険料、固定資産税、金利、リース会社の利益などが含まれているからで、購入と比べて金利とリース会社の利益の分、総額が高くなることが想定されます。
高額な初期費用を用意できない企業にとって、太陽光リースモデルは大きなメリットがあります。しかし、自己資金に十分なゆとりがある場合などには、購入の方が合理的であると言えます。
PPAとリースモデルの比較
最後に、PPA(Power Purchase Agreement)モデルについても簡単にご紹介します。
この契約では、PPA事業者が需要家の提供する敷地内等に太陽光発電設備を設置し、発電した電力を需要家に供給します。この際、自家消費した電力についてもPPA事業者に所有権があるため、需要家は電気代を支払う必要があります。
太陽光リースモデル同様、初期費用は0円でスタート可能。リース料はかからず、通常の購入電気料金より割安になるケースが多い傾向にあります。また、メンテナンス費用が料金に含まれているため、保守費用が別途かかることもありません。ただし、契約期間が標準20年と長期になるなどのデメリットも存在します。
まとめ
太陽光発電には自己所有・PPA・リースの3種類があります。それぞれに内容は大きく異なり、メリット・デメリットにも違いがあります。太陽光発電を検討する際は、どの契約が自社にとって最適かをよく考えた上で選定しましょう。