記事の要点
・工場・製造業における太陽光発電システムの最大のメリットは、光熱費の削減
・日中、稼働率が高い工場・製造業と太陽光発電システムの相性がよく、発電した電気を「自家消費」することで電力会社からの買う電気量を減らす
・デメリットは初期投資、太陽光発電パネルを載せる工場自体の耐久性
・初期投資は減価償却として経費に計上できるため、経営状況によってはむしろプラス方向にできる場合もある
・本文後半では、製造業における具体事例を紹介
太陽光発電システムのメリットは恒久的な光熱費削減
まず核心である「太陽光発電システムは工場に付けるべき?」という疑問に対する結論は、「付けた方がメリットが大きい可能性が高い」設備と言えます。
昨今は、原油価格や世界的なインフレにより、電気代の高騰が止まらず経営にも少なからず影響を及ぼしています。
そんな光熱費を将来にわたって抑制してくれる効果が見込めるなど、長い目で見て会社経営においても有用な設備です。
悩ましい工場全体の光熱費、特に電気代がどのように下がるのか?
まずは、太陽光発電システムの基本的なポイントからみていきましょう。
※太陽光の仕組みを知っている方は、次の章へ
売電と自家消費
太陽光発電システムは、日中に太陽光があたるとその名の通り発電を開始します。
創り出した電気はパワーコンディショナという機械を通じて、交流電気へと変換され工場内で使える電気となります。
この創り出した電気を、どう活用していくのか解説していきます。
制度によって異なりますが、昨今工場などで太陽光発電システムを導入される方の多くは「自家消費型太陽光発電システム」であり、上図のようになります。
知っておくべき原則は、創った電気はリアルタイムに、自分で使うことができる、という点です。
この発電して創り出す電気の量は、リアルタイムに変化していきます。
まず、「発電している電気量」より「工場内で使っている電気量」の方が多いことが一般的です。
言い換えると、太陽光発電システムの電気によって、電力会社から買う電気の量を減らしているわけです。
また、土日など工場がほとんど稼働していない状態で晴れていると、発電した電気を売って収益にすることもできます。
一方、雨天時や夕方など、日射量に比例して発電量も低下していきますが、曇天時でも微量の発電を行うこともあり、日本の多様な気候でも年間を通すと比較的安定した電力量を確保できます。
工場や製造業の建物と相性がいい太陽光発電システム
上記のとおり、自家消費型太陽光発電システムは、電力会社からの電気購入量を減らすことができます。
さらに、太陽光発電システムと工場の相性がいい理由として、「昼間に多くの電気を使うから」です。
令和において、太陽光発電システムを新規で設置される法人の場合、基本的に電気を余らせて売電しても安い単価での買取になってしまいます。
※2024年度の売電単価 ・10kW未満:16円/kWh ・10kW以上~50kW未満:12円/kWh(屋根上設置) ・50kW以上:12円/kWh(屋根上設置) ※上記は屋根上設置の単価であり、地上設置の場合は異なる |
高圧の買電単価が、平均で約18~22円(2024年5月・再エネ賦課金等を除く)と考えると、12円で売るより自分で使った方がオトクです。
電力契約の内容にもよりますが、電力単価は年々高くなっており、「安く売るぐらいなら、高い電気を買わずに自分で使おう」という「自家消費」の考え方が一般的です。
初期費用との回収バランスも考えなければいけませんが、インフレで値上がりが多い昨今、経費の増大を抑える意味でも、日中に電気をたくさん使う工場には太陽光発電システムはおすすめです。
工場・製造業における太陽光発電システム導入時のデメリット
一方、工場での太陽光発電システム導入におけるデメリットは大きく2つあり、「工場自体の耐久性」と「初期費用」です。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
工場自体の耐久性
太陽光発電システムは建物の屋根にモジュールと呼ばれるパネルを載せて、発電を行います。
メーカーや規格によっても大きく異なりますが、一般的な太陽光パネル1枚あたりの重量は20kg~25kgと、決して軽くはありません。
仮に約50kWの容量を搭載すると、約3t の荷重がかかるため、耐震等の観点からも問題がないかどうかの確認をすることをおすすめします。
建物の耐荷重については、建設会社様へ確認頂くことが一番ですが、新耐震基準であれは多くは設置可能です。※昭和56年(1981年)6月1日以降
場合によっては、建物自体を補強するといったことも必要になってきます。
初期費用はかかるものの減価償却まで考慮して検討
デメリットの2つ目は、導入にかかる初期費用です。
昔に比べて導入費用が下落してきたとは言え、kWあたりの平均価格は約17万円(250~500kWのシステム)と、決して安いとは言い切れない金額です。
仮に300kWの太陽光発電システムを導入すると、単純計算では5100万円の初期費用が必要です。
しかし、法人として考えると利益が出た年度の節税対策として考え、減価償却まで考えると初期費用に関してはハードルが下がるケースも多いでしょう。
太陽光発電システムは、光熱費の削減やBCP対策にもなる設備であり、導入すると長く使えるシステムです。
国税庁の見解例としても、自動車工場の自家消費型太陽光発電システムの減価償却年数は9年※という判断もあり、一度導入すると節税効果も長く使える設備でもある点を留意して、初期費用とのバランスを見ながら冷静に判断されるとよいでしょう。
※最終的には税務署の判断になります
【参考】:風力・太陽光発電システムの耐用年数について|国税庁
【関連記事】:【法人向け】太陽光発電システムによる節税について解説!
工場・製造業における太陽光発電システム導入事例
つづいて、製造業における太陽光発電システムの導入事例をみていきましょう。
【自動車部品製造】九州小島株式会社様
導入初月効果 → 工場の消費電力量を約19%ダウン |
今回ピックアップする事例は、自動車の部品製造業を営まれている九州小島(株)様です。
2022年~2025年の4年間で合計775トンのCO₂削減目標を掲げており、企業価値向上だけでなく、電気料金の高騰にも悩まれていらっしゃいました。
自動車業界ではEV車への移行が進む中、車両だけでなく部品製造のCO₂削減も求められている中、導入手段としては初期費用が不要なPPA(パワー・パーチェス・アグリーメント)を採用されました。
【関連記事】:【法人向け】PPAモデル(第三者所有型)とは?導入のメリット・デメリット、徹底解説!
太陽光発電システムの設計・調達はソーラーフロンティアが担当していますが、導入初月で工場の電力消費量を19%ダウンの実績が出ました。
さらに太陽光発電システムの故障対策として、ソーラーフロンティアのO&Mサービスも導入いただいています。
故障監視で安定した発電量を確保すると共に、発電モニターを社内に設置することで、脱炭素化への取り組みをお客様・社員様へもアピールできている、とのことです。
まとめ
製造業など、工場を所有されている方で、光熱費の上昇に悩んでいる方も少なくありません。
ソーラーフロンティアにも、昨今の電気代高騰の際に多くのご相談を頂きました。
太陽光発電システムは導入いただくと、「なぜもっと早く導入しなかったのか」と仰る経営者の方も多く、後悔することが少ないシステムです。
世界的なインフレにおいて、漏れなく日本にもその傾向が表れています。
人件費や経費の抑制も大切ですが、太陽光発電システムの導入による光熱費の削減効果という方法も検討してみては如何でしょうか。
ソーラーフロンティアでは、下記のフォームから商品に関するお問合せや、実際のお見積りのご検討なども承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
◆商品に関するお問い合わせ、カタログ請求、 技術的な質問、その他のお問い合わせなど
お問合せ入力フォーム
◆お電話でのご相談
0570-053115
受付時間9:00~17:00(日曜、祝祭日及び年末年始を除く)
◆法人向けQ&A
よくある質問 | 太陽光発電システムならソーラーフロンティア