2021.12.10

「カーボンニュートラル」とは?仕組みや国内の取り組みを紹介

「カーボンニュートラル」とは?仕組みや国内の取り組みを紹介

近年、環境問題への取り組みだけでなく、経済活動の中でもよく耳にするようになった「カーボンニュートラル」。なんとなくわかった気になってはいても、具体的にどのようなものかは説明できない、という方も多いかもしれません。

そこで今回は、カーボンニュートラルとは何なのかを、仕組みや国内での取り組みと併せてご紹介します。また、企業がカーボンニュートラルに取り組む必要性についても説明するので、ぜひ参考にしてください。

目次

    カーボンニュートラルとは?

    カーボンニュートラルとは、事業者等の事業活動等から排出される温室効果ガス排出量を「全体としてゼロにする」ことを指します。「全体としてゼロ」とは、「排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする」ことを意味します。排出を完全にゼロに抑えることは現実的に難しいため、排出せざるを得なかった分については、同量を「吸収」または「除去」することで、正味ゼロを目指すというもので、これが「ニュートラル(中立)」が意味するところです。

    引用:経済産業省 資源エネルギー庁
    https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_neutral_01.html

    なお、日本が目指すカーボンニュートラルでは、二酸化炭素だけではなくメタンや一酸化二窒素、フロンガスなど温室効果ガスも削減対象としています。

    カーボンニュートラルをめぐる国内の動き

    国内の動き

    カーボンニュートラルという言葉は、2020年10月に第203回臨時国会における菅内閣総理大臣(当時)の所信表明演説で使われ、注目されるようになりました。

    所信表明演説のなかで、菅首相は以下のように述べています。
    「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。」

    その後、発足した岸田首相による臨時国会所信表明においても、
    「2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温暖化対策を成長につなげる、クリーンエネルギー戦略を策定し、強力に推進する」と宣言されました。

    最近では、気候変動の議論の場として重要なCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)において地球温暖化対策への日本の取り組みを訴えています。2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減し、さらに2050年の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする方針を明言しています。
    先進国の流れと同様に日本においてもカーボンニュートラルの実現は、長期的に目指す課題となります。

    これらを受けて、成長戦略会議や、国と地方での議論が重ねられ、地球温暖化対策計画・エネルギー基本計画・長期戦略の見直しが行なわれました。

    また、2050年カーボンニュートラルを宣言した国は、日本以外にも多数あり、それぞれに中期・長期で目標を掲げています。
    日本における中期・長期の目標は次のとおりです。

    ● 中期目標:温室効果ガスの排出量を2030年度までに46%削減(2013年度比)
    ● 長期目標: 2050年カーボンニュートラル

    まとめ

    カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにするという考え方のことです。COP26の開催をきっかけにカーボンニュートラル、脱炭素化への取組みは話題を集めています。

    宣言は、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すという内容です。
    日本では、目標達成のために議論を重ねて計画を見直し、法律の整備も進んでいます。しかし、国の取り組みだけでは実現は難しく、企業や自治体の協力も不可欠です。

    2020年12月現在では、72社の企業がカーボンニュートラル宣言をし、脱炭素化実現のための取り組みを行なっています。TCFD、SBT、RE100に取り組んでいる日本企業の状況は世界トップクラスとなっており、TCFD世界1位、SBT世界3位、RE100世界2位の順位となっています。多くは大手企業ですが、今後は中小企業や個人単位でもカーボンニュートラルを意識する重要性が高まるでしょう。

    引用:環境省
    TCFD、SBT、RE100 取組企業の一覧(2021年10月31日時点)[PDF:708KB]

    2050年のカーボンニュートラルの達成に向けては国だけでなく企業の協力が不可欠です。

    企業には、気候変動に対応した経営戦略の開示(TCFD)、脱炭素に向けた目標設定の枠組み(SBT、RE100)などを通じ、脱炭素経営により一層向き合うことが期待されるでしょう。
    このような企業の取組みは、企業価値の向上に寄与することが期待できます。また、ESG投資という指標があることからも資金調達を可能とし、新たな取引先やビジネスチャンスの拡大につながる可能性もあるでしょう。

    企業がカーボンニュートラルを実現するにあたっては、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーによる発電手法を取り入れることも検討の価値があります。特に、太陽光発電システムによる自家発電は他の再生可能エネルギー発電設備の導入と比較をし、建設期間が短く、発電コストが安価というメリットがあります。ぜひこの機会に検討してはいかがでしょうか。

    参考記事
    【法人向け】自家消費型太陽光発電システムとは?基礎知識や導入のメリットなど解説
    https://www.solar-frontier.com/jpn/blog/pages/self-consumption.html

    【法人向け】PPAモデル(第三者所有型)とは?導入のメリット・デメリット、徹底解説!
    https://www.solar-frontier.com/jpn/blog/pages/ppa-model.html