2022.02.03

BEMSとは?導入のメリット、導入事例をご紹介

BEMSとは?導入のメリット、導入事例をご紹介

エネルギーの消費量を管理・分析する「EMS(エネルギー・マネジメント・システム)」の一つとして注目されているのが「BEMS」です。
本記事では、BEMSの概要や導入のメリット、企業のBEMS導入事例などを解説します。

目次

    BEMSとは

    BEMSの概要と特徴について解説します。

    ◇BEMSはオフィスビルや商業施設向けのエネルギー管理システム

    BEMSは「Building Energy Management System」の頭文字を取った言葉で、オフィスビルや商業施設等のエネルギー使用量を一元的に管理・分析し、施設全体のエネルギーの最適化を図ることができるシステムのことを指します。

    ◇見える化がBEMS最大の特徴

    BEMSの主要な特徴は、施設内の設備毎のエネルギー使用量を、時間別・日別・月別・年別で集計し、使用の実態を「見える化」することです。使用実態の見える化により、「いつ」「どの設備で)」エネルギーの無駄が生じているか把握することができ、電気料金の削減や省エネ化に対する最適な計画を立てることが可能となります。

    BEMSを導入するメリット

    BEMSを導入するメリット

    BEMSを導入することで得られるメリットをご紹介します。

    ◇電気料金の削減

    電力使用の無駄を省くことで、電力使用量の削減につながります。また、空調機器などの設備を快適性に配慮しながら自動制御することで、ピークカットを行うことも可能です。この機能はデマンド制御とも呼ばれ、電気料金削減策の有効な手段と言えます。

    電気料金の削減にあたっては下記の記事もご参考ください。

    参考:「電気料金を削減するには?電気料金削減の成功事例を紹介」

    ◇エネルギー管理の省力化

    「コスト削減や省エネ対策を行いたいが、人任せだとルールが徹底できない」、「細かい無駄が気になるが管理しきれない」などの課題を解決することができます。空調設備の設定温度や運転時間をBEMSでスケジュール管理することで、過剰運転や消し忘れなどを自動的に回避することができます。それにより、管理の省力化と省エネ対策の徹底が図れます。

    BEMSの導入事例

    BEMSの導入事例

    最後に、BEMSを導入している企業の事例をご紹介します。

    ◇霞が関ビルディング・新宿三井ビルディング

    三井不動産株式会社では、自社で所有・運営管理する「霞が関ビルディング」と「新宿三井ビルディング」にてBEMSを導入しました。BEMSのデータ解析をもとに、空調システムや熱源システムなどの設備運用の最適化、機器の性能維持のため、保守点検・メンテナンスを適切に実施しています。2つの事業所では、大規模リニューアルを含む設備更新の実施による高効率設備の導入のほか、CO2 削減の体制整備・運用管理水準の高さが評価され、東京都が規定する「優良特定地球温暖化対策事業所」の「準トップレベル事業所」の認定を受けています。

    参考:三井不動産株式会社プレスリリース

    ◇脳神経リハビリ北大路病院

    脳神経リハビリ北大路病院では、BEMSの導入によって、電気使用量および最大デマンド値が減少しました。その結果、年間で約170万円もの電気料金を削減でき、自治体の補助金も有効活用することでBEMS導入にかかった費用を1年未満で回収できています。

    参考:脳神経リハビリ北大路病院 BEMS導入について

    ◇那覇空港国内線ターミナルビル

    那覇空港国内線ターミナルビルでは、BEMSの導入によって今まで見えなかった系統別のエネルギー使用状況が把握可能となり、照明や空調設備の運転管理を適切に行なえるようになりました。さらに、冷水2次ポンプの流用制御により更なる省エネ化を実現しています。

    参考:那覇空港ホームページ 環境への取り組み

    まとめ

    BEMSの最大の特徴は、施設内のエネルギー使用実態の見える化と制御機能により、以下2つのメリットが期待できることです。

    1. 電気料金の削減

    2. エネルギー管理の省力化

    今回ご紹介した企業事例のように、BEMS導入での電気料金の削減効果により、補助金も有効活用することで、導入費用を短期間で回収できるケースもあります。

    脱炭素経営の潮流で、今後更なるBEMSの普及が予想されます。エネルギー管理の省力化やコスト削減を見据えて、BEMSの導入を検討してみてはいかがでしょうか。