
法人向けの太陽光発電システムを導入するにあたって、活用したい補助金制度の概要を紹介していきます。
特に、工場などの大規模な施設をお持ちの事業者様にとって使いやすい補助金制度の概要を、環境省の資料から具体的な設置事例も踏まえてご紹介します。
今回は、法人向けの太陽光発電システムや蓄電池導入で活用できる代表的な補助金制度と、工場での導入事例をご紹介します。
なお、令和6年度の補助金制度はすべて終了していますが、同様の制度が令和7年度も継続される見込みとなっているため、これから太陽光発電システムなどを導入しようとされている事業者様は参考にご覧ください。
それでは、まず今回の記事の要点からお伝えします。
記事の要点
・工場を所有する事業者様向けの太陽光発電システムおよび蓄電池に関する補助金制度として、「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」などがあります
・国が実施する太陽光発電システム向けの補助金制度は、一部の大規模事業(2MW以上)を除き、蓄電池を併用することが条件となっています
・記事内では合計4件の補助金制度をご紹介します(令和6年度は受付終了、令和7年度も同様の制度が継続される見込みのため、参考にご覧ください)
・記事後半では、環境省の資料を引用し、実際に工場に設置された太陽光発電システム・蓄電池の設置費用・導入のきっかけ・効果などをご紹介します
法人向け太陽光発電システムおよび蓄電池の補助金制度

まずは、工場で適用しやすい法人向け太陽光発電システムおよび蓄電池の補助金制度をご紹介します。
なお、国の補助金制度では太陽光発電システム単体(2MW以上のシステムを除く)で適用できる補助金制度はなく、多くが蓄電池併用が条件になってきます。
地方自治体で運用している補助金制度では、太陽光発電システム単体で導入できる制度もあるため、太陽光発電システムのみで導入検討される方は補助金の適用有無についてはご注意ください。
それでは、以下で4件の補助金制度をご紹介します。
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業

制度の主旨 | 太陽光発電システムと蓄電池を同時に導入した方が経済メリットがある状態にして、太陽光発電システムと蓄電池を普及を図る |
主な条件 | ・自家消費型であること(逆潮流はNG) ・オンサイトでの自家消費であること(オフサイトはNG) ・10kW以上であること ・定置用蓄電池または車載用蓄電池が活用できるシステム導入 ・停電時には自立運転への切り替えができること など |
補助金額(太陽光発電システム) | ・自己所有:4万円 / kW ・オンサイトPPA / リース:5万円 / kW ※各種条件有 |
補助金額(蓄電池) | ・定置用蓄電池:4万円 / kW ・車載用蓄電池:kWh × 2分の1 × 4万円 ・車載用蓄電池充放電設備:2分の1 ※各種条件有 |
需要家主導型太陽光発電導入支援事業

【出典】:需要家主導型太陽光発電導入支援事業
制度の主旨 | 2MWを超える太陽光発電システムを導入する発電事業者へ補助金を出し、太陽光発電システムの普及を図る |
主な条件 | ・太陽光発電システムを2MW以上、新たに設置すること ・補助対象経費のうち蓄電池を除く単価が23.9万円 / kW(ACベース)未満 ・運転開始時期の条件あり ・FIT / FIP制度 ・自己託送ではないこと ・再エネを長期的(8年以上)に利用する契約を締結する など |
補助金額(太陽光発電システム) | 太陽光発電システム:導入費用の3分の2・2分の1・3分の1いずれか ※単体設置で適用可 |
補助金額(蓄電池) | 蓄電池:導入費用の2分の1・3分の1のいずれか |
工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)

制度の主旨 | 工場・事業場での脱炭素化のロールモデルとなる取組(削減目標や計画の策定、設備更新として電化・燃料転換・運用改善の実施など)で脱炭素への寄与を図ること。 【CO2削減計画策定支援】 年間のCO2排出量 50t ~ 3,000t 未満の工場・事業場を保有する事業者様などに対し、CO2排出量削減余地の診断および「CO2削減計画」の策定を支援する 【省CO2型設備更新支援】 「CO2削減計画」に基づく設備更新を支援する |
主な条件 | ・中小企業基本法第2条で定義される中小企業 など ・過去に法人向け太陽光の補助金を実施していないこと など ※策定支援と設備更新支援で、複雑な条件あり |
補助金額(CO2削減計画策定支援) | 上限4分の3、支援内容により100万円・60万円・50万円 |
補助金額(省CO2型設備更新支援) | ・A / 標準事業:3分の1、補助上限1億円 ・B / 大規模電化・燃料転換事業:3分の1、補助上限5億円 ・C / 中小企業事業:CO2削減量比例型補助、補助上限0.5億円 |
物流脱炭素化促進事業の補助金(流通業務の脱炭素化促進事業費補助金)

【出典】:国土交通省チラシ
制度の主旨 | 貨物運送事業、貨物利用運送事業、倉庫事業などの事業者様向けで、物流施設における再エネ関係施設の整備促進を図る |
主な条件 | ・必須)太陽光発電システム10kW以上 ・必須)蓄電池20kWh以上もしくは物流業務用EV車両もしくは充電用スタンド など |
補助金額 | 導入費用の2分の1(上限あり) |
補助金を使った導入事例と「リアルな声」(環境省資料抜粋)

ここまで、法人で太陽光発電システムや蓄電池を導入する際に活用できる補助金制度をいくつかご紹介してきました。
スケジュールやその他条件が合致する補助金を活用できれば、太陽光発電システムが導入しやすくなります。
つづいて、実際に太陽光発電システムや蓄電池を導入された事業者様の「リアルな声」や導入費用もみていきましょう。
なお、ここでご紹介する内容は環境省のホームページで実例として紹介されているものをピックアップしています。
【PPA】福島県・工場での設置事例(太陽光発電・蓄電池)

【出典】:自家消費型太陽光発電・蓄電池の導入事例集
1件目は、食料品製造業として醤油や味噌の醸造等を行なっている事業者様の事例です。
自家消費率は99%超で、204kWの発電量を自家消費し、年間のCO2削減率は約11.8%となっています。
また、蓄電池も導入されていることから、停電時における事業継続もできる安心なシステムを導入されているとのことです。
◆導入検討時の工夫点・課題等(原文引用) • 屋根上の太陽光設置箇所を検討するにあたって、建屋の築年数が懸念点であった。 そのため屋根上を目視で確認した上で構造計算も行い、荷重も問題ないことを確認して導入を決定した。 ◆補助事業活用の効果(原文引用) • 太陽光で発電した電力を自家消費する効果により CO₂ を約15%削減する見通しである。 • 今回太陽光だけでなく蓄電池(蓄電容量 27kW)も合わせて導入しているため、非常時には、事業所内の一部の電力負荷を蓄電池で貯めた電力で賄う効果が見込める。 |
【PPA】埼玉県・工場での設置事例(太陽光発電・蓄電池)

【出典】:自家消費型太陽光発電・蓄電池の導入事例集
2件目の事例は、印刷工場での太陽光発電システム・蓄電池の導入事例です。
太陽光発電システムと蓄電池の導入により、消費電力量の約9.6%をCO2ゼロにできる見込みとのことです。
また、蓄電池導入で停電時のレジリエンス向上も考えられての導入をされたようです。
◆取組のきっかけ(原文引用) ・対象施設では、竣工時より屋上の一部に太陽光発電設備を設置するとともに、非化石証書付きの再エネ電力を購入することで、再エネ100%を既に達成していたが、CO2排出量自体を削減するための取組としてPPAモデルの自家消費型太陽光発電設備の導入検討を行った。 ・昨今の厳しい電力需給状況を踏まえ、電力供給が逼迫している時間帯においても生産拠点の生産性を維持するために、自家発電量を増やしたいという意図があった。 ◆導入検討時の工夫点(原文引用) ・PPAモデル(第三者所有型)については20年と長期の契約となるため、複数のPPA事業者に対してヒアリングを行うとともに、質問集を作成して回答してもらい、各サービスの差異を把握したうえで導入を進めた。 ◆補助事業活用の効果(原文引用) ・試算通りであれば、8.7%のCO2削減率となる見込みである。 ・太陽光パネルの設置による、屋根の断熱性の向上についても期待している。 |
【自己所有】福島県・工場での設置事例(太陽光発電・蓄電池)

【出典】:自家消費型太陽光発電・蓄電池の導入事例集
最後は電子部品を製造されている事業者様で、太陽光発電システムと蓄電池を設置した事例です。
再生可能エネルギーに置き換えてCO2排出量を減らすことと、停電時のBCP対策として導入されたようです。
◆取組のきっかけ(原文引用) • 脱炭素化の流れが世界的に加速し、日本でも2050年までにカーボンニュートラルを実現する宣言を行っている中、同社が属する電子部品業界でもサプライチェーン全体で脱炭素化に進む方向性にあり、それに貢献する取組の必要性を感じていた。 ◆導入検討時の工夫点(原文引用) ・太陽光パネル(合計711kW)により、CO2削減を進め、クリーンエネルギーでの製造を実施検討。蓄電池(出力50kW、容量159kW)を導入し、余剰電力の最大効率化及びBCP対策を実施検討した。 ・V2H(充放電5kW)を5基を導入して、EV車のバッテリー(蓄電池)を最大限に利用し、停電時のBCP対策とした。(V2H導入にはCEV補助金を利用) ◆補助事業活用の効果(原文引用) ・本事業の活用効果により、事業の収益性向上とBCPの強化という両面を実現できた。 ・社員、顧客、ステークホルダー、採用へのPR効果も期待している。 |
まとめ

今回は、工場を中心とした大型施設を所有されている事業者様向けに、太陽光発電システム・蓄電池の補助金情報と、関連する導入事例をご紹介してきました。
補助金は可能であれば積極的に活用したい制度ですが、条件や提出書類など難しい側面もあり、設置工事・設計だけでないサポートがカギとなってきます。
ソーラーフロンティアでは、今回ご紹介したような国が実施する補助金制度ならびに地方自治体が実施する補助金も、工事の条件に合わせて相談可能となっています。
導入に関心がある事業者様は、まずはお気軽にお問い合わせください。
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