工場立地法とは?太陽光発電は環境設備になるの? | 法人向け省エネ対策について情報をお届けするサイト

工場立地法とは?太陽光発電は環境設備になるの?

工場立地法とは?太陽光発電は環境設備になるの?

工場立地法は、製造業をはじめとする企業に対して、「社会的責務」として工場の緑化など積極的に行ない、地域の環境づくりに貢献することを求めて周辺の生活環境と調和を図ることを義務づけています。

この記事では、そんな工場立地法における「太陽光発電導入」のメリットなどを解説します。

目次

    工場立地法とは

    工場立地法

    工場立地法とは、工場周辺の環境を守りながら適正に生産が行なわれるようにし、経済の健全な発展と国民福祉の向上を目指した法律です。

    工場立地法では、一定以上の規模の特定業種に対して、公害や環境破壊を防ぎ、周辺環境との調和を取りながら稼働するように整備することが求められます。
    具体的には、生産施設の敷地面積を一定の割合以下に抑え、同時に敷地内に環境施設の設置が定められており、新設・変更の際には事前に各自治体へ届出を提出しなければなりません。届出のあと調査が実施され、定められた準則に適合しているか判断されます。

    不適合であれば是正の勧告があり、それでも従わないと変更命令となり、命令違反が確認された場合は罰則が適用されることもあります。

    工場立地法の対象業種は、製造業・電気供給・ガス供給業・熱供給業で、電気供給事業のうち、水力・地熱・太陽光発電所は含まれません。このなかで、敷地面積9,000平方メートル以上、または建築面積3,000平方メートル以上の工場が対象です。

    工場立地法の届出と罰則規定

    罰則規定

    工場立地法の届出はどこへ提出し、従わなければどういった罰則を受けるのでしょうか。ここからは工場立地法の届出と罰則規定についてご説明します。

    ◇各自治体に届出が必要

    工場立地法に基づく届出は、工場がある都道府県市町村窓口へ提出します。工場を新設・廃止する場合や敷地面積などの変更をする場合に届出が必要です。

    新設の場合、自治体に届出が受理されてから原則90日間は工事着工できないことになっています。

    ただし、自治体の判断によっては短縮可能な場合もあります。この場合、実施制限期間の短縮申請も併せて必要になります。

    ◇具体的な基準の内容

    工場立地法で定められている、具体的な基準は以下のとおりです。

    ・生産施設面積:8つに業種が区分されており、敷地面積に対する生産施設の面積の割合が30%~65%以下と定められています。
    工場の敷地面積のなかで、生産施設がどれほどの割合を占めるかという基準です。
    生産施設とは、製造工程を形成する機械や装置が備えられている建築物全体を指します。

    ・緑地等面積:緑地20%以上、緑地を含む環境施設25%以上
    工場の敷地面積のなかで、緑地や環境施設がどれほどの割合を占めるかという基準です。
    緑地・環境施設については、次章で詳しく解説します。

    ただし、地域によってはこの基準を満たすことが事実上難しい場合もあります。そのため、上記の基準は全国一律の準則とし、地方自治体は実情に応じて、条例にて規制緩和をすることが可能です。条例は、以下1~4の範囲内で定められます。4へ向かうほど規制緩和が強くなり、優先的に適用されます。

    1. 都道府県準則・市準則:緑地5~30%以上、環境施設10~35%以上
    2. 市町村準則:緑地1~30%以上、環境施設1~25%以上
    3. 国際戦略総合特区に基づく準則:緑地1%以上、環境施設1%以上
    4. 震災復興特区に基づく準則:緑地1%以上、環境施設1%以上

    ◇課せられる罰則

    準則に不適合となり、勧告や変更命令があってもなお違反がある場合、無届や虚偽の届出があった場合は罰則が課せられます。

    届出義務違反及び変更命令違反:6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
    制限期間に違反して、特定工場の新設又は変更:3月以下の懲役又は30万円以下の罰金
    規定による報告をせず、又は虚偽の報告:20万円以下の罰金
    氏名等変更の届出義務・承継の届出義務違反:10万円以下の過料

    参考:経済産業省 工場立地法https://www.meti.go.jp/policy/local_economy/koujourittihou/hou/houkaisetsu.pdf

    工場立地法における緑地と環境施設とは

    ここでは、工場立地法における緑地と環境施設について確認しましょう。緑地と環境施設

    参考:経済産業省 工場立地法の規制の概要https://www.meti.go.jp/committee/summary/0004651/pdf/033_05_s02.pdf

    ◇環境施設面積とは

    工場立地法における環境施設面積とは、「緑地面積」と「緑地以外の環境施設面積」を足した面積のことです。あとに紹介する「緑地以外の環境施設面積」は、緑地に類する施設で、工場内または事業場の周辺地域の環境保持に貢献するとされています。

    前述のとおり、工場立地法の国の準則では、環境施設面積を25%以上確保することが定められています。環境施設には緑地も含まれているので、緑地面積のみが25%以上となれば、緑地以外の環境施設がなくても問題はありません。

    ◇緑地とは

    工場立地法においては、緑地とは「植栽その他の主務省令で定める施設」としています。土地や建物の屋上など、屋外に設けられていれば緑地に該当します。除草などの手入れがきちんとされていれば、植物の種類などの指定はありません。
    また、屋上に限らず、緑化された建物も「建築物屋上等緑化施設」として緑地に該当します。

    ◇緑地以外の環境施設とは

    緑地以外の環境施設とは、規則で定められた施設のうち、周辺地域の生活環境の保持に寄与するものをいいます。以下に挙げる施設のために区画された土地が緑地以外の環境施設です。

    ・噴水・水流・池、その他の修景施設
    ・屋外運動場
    ・広場
    ・教養文化施設
    ・雨水浸透施設
    ・太陽光発電施設(屋上やその他屋外に設置されるものも含む)

    太陽光発電施設については、例えば屋根上や建築物の屋上に設置されていても、緑地以外の環境施設として扱われるということになります。

    工場立地法における太陽光発電のメリット

    工場立地法に従い、環境施設面積を確保するためには、太陽光発電の施設を取り入れることがおすすめです。太陽光発電システム設置のメリットは以下のとおりです。

    ◇環境施設として認められる

    太陽光発電システムは環境施設として認められ、屋上などのスペースにも設置できます。環境施設を設置するために新たに土地を確保する必要がなく、生産施設の面積を削る必要もありません。

    ◇重複緑地として計上が可能

    例えば、工場立地法において芝生は「緑地」です。そして、太陽光発電システムは、「緑地以外の環境施設」と分類されます。芝生に太陽光発電システムを設置した場合は、一定の範囲までは重複してカウントすることができます。
    国の準則では「敷地面積×緑地面積率×25%」を上限としていますが、条例により都道府県又は市が準則を定める場合には、「敷地面積×緑地面積率×50%」までの範囲で算定する率を定めることができます。これにより、限られたスペースを効率良く利用することができます。

    ◇電気代の削減になる

    太陽光発電システムを設置すれば電気代の削減が期待できます。工場の稼働、維持に必要な電力の一部をまかなうことができるほか、太陽光発電で作られた電力はクリーンなエネルギーのため、CO2排出量の削減が可能です。

    蓄電システムを併設すれば、発電した電力を貯めておくことができるので、雨天や曇天の日、あるいは夜間にも電力を供給できます。また、災害などが起こった場合の非常用電源としての活用も可能です。

    まとめ

    工場を新設するときや拡張・変更の際に気を付けておかなければいけない工場立地法について解説しました。準則に適合するよう緑地や環境施設を設置し、新設・拡張前には申請も必要です。

    太陽光発電システムの設置は、工場立地法における環境施設としても認められるため準則適合の面でも多くのメリットがあります。限りある敷地を効率良く使うためにも、太陽光発電システムの設置を検討してみてはいかがでしょうか。