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2022/02/16
産業用蓄電池とは?導入費用やメリット、設置の際の補助金についても解説

固定価格買取制度(FIT)の期間満了にともない、一般住宅などを中心に家庭用蓄電池の需要が高まっています。さらに、近年頻発する自然災害の備えとしての非常用電源や、再生可能エネルギーが生み出す電力の活用促進の観点からも、新たに注目されているのが産業用蓄電池です。

本記事では、産業用蓄電池がなぜ注目を集めているのか、その特徴や導入のメリットなどを詳しく解説します。

産業用蓄電池とは?

はじめに、産業用蓄電池の概要や用途について解説します。

◇産業用蓄電池とはどんなシステムなのか

産業用蓄電池とは、工場や倉庫、公共施設、商業施設、オフィスビルなどに設置される蓄電システムのことです。

◇産業用蓄電池の用途

産業用蓄電池のおもな用途は、大きく分けて2つあります。

1つ目は、非常用電源としての活用です。自然災害などが原因で広域停電が発生した際に、蓄電池に貯めておいた電力を非常時に必要な電力に充当することが可能です。
2つ目は、平常時の活用です。太陽光発電設備と連携させることで、日中太陽光発電システムが発電した電力を施設内で使用し、その余剰分を蓄電池に貯めておくことが可能です。こうすることで、夜間等の太陽光発電システムが発電しない時間帯に、蓄電池から電力を供給するなど、クリーン電力の有効活用が可能となります。

企業が産業用蓄電池を導入するメリット

企業が産業用蓄電池を導入するメリット

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企業が産業用蓄電池を導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
以下では、おもなメリットを3つ紹介します。

◇BCP対策

蓄電容量や設備仕様により、使用用途に制限がありますが、最低限の電源確保として活用できる点は大きなメリットでしょう。

参考:BCP(事業継続計画)とは?策定のポイントと対策について解説

◇二酸化炭素排出量削減による企業価値向上

太陽光発電システムが生み出すクリーンな電力を蓄電し、太陽光発電システムが稼働しない時間帯にその電力を有効活用することは、購入する電力量の削減と二酸化炭素排出量の削減につながります。脱炭素化経営が求められる中、企業価値の向上に貢献します。

◇ピークカットによる経済効果の期待

使用方法によってはピークカットが可能となり、電気基本料金の削減が期待できます。

今後の蓄電池の普及拡大にむけて

資源エネルギー庁はカーボンニュートラル達成に向けた蓄電池の重要性を示すとともに、「定置用蓄電システムの普及拡大には、蓄電システムが生み出す価値の最大化を通じて、活用機会の拡大を行い、それに伴う蓄電システム市場の拡大が重要」との見解を示しており、企業への補助事業にも注力しています。

産業用蓄電池設置の際の補助金について

産業用蓄電池設置の際の補助金について

産業用蓄電池の導入に使える国の補助金について見通しを紹介します。(2021年11月現在)
環境省では、令和4年度環境省重点施策の中で「PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」を概算要求として掲げています。

◇対象設備

令和4年度補助金での補助対象設備の要件は未だ決定しておりませんが、令和3年度に実施された補助対象設備は主に以下の通りです。

  1. 業務用において、4800Ah・セル以上の蓄電システムであること

  2. 1kWhあたり21万円(工事費込み)以下の蓄電システムであること

  3. 定置用蓄電池については、主な用途が本事業で導入する太陽光発電設備により発電した電力を平時において繰り返し充放電するものに限る(保安防災のみを目的としたものは補助対象外)。

◇補助額について

令和4年度環境省重点施策「PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」概算要求資料の中では、蓄電池の補助額は以下の様に記載されています。

家庭用蓄電池 定額5.5万円/kWh
業務・産業用 定額7万円/kWh

なお、国の補助金だけでなく、東京都でも産業用蓄電池に対する補助制度を実施しています。

まとめ

産業用蓄電池を導入するメリットには、非常用電源として活用できることや、カーボンニュートラルの取組みにつながることなどが挙げられます。また、産業用蓄電池の導入時には、補助対象となる設備要件を満たすことで、国や自治体の補助制度を活用することも可能であり、導入に際する初期費用を抑えることができます。

電気料金削減と二酸化炭素削減の観点からも活用の幅は大きいと言えます。
ぜひこの機会に太陽光発電システムと蓄電池の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

2022/02/16
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