太陽光発電におけるリパワリングとは?その必要性やメリットについて解説

太陽光発電におけるリパワリングとは?その必要性やメリットについて解説

2012年FIT制度の開始により日本国内の太陽光発電所数は急増しました。制度開始から10年以上が経過し、初期に稼働開始した発電所などでは、経年劣化等の要因により発電不良や効率低下といった問題に直面することが想定されます。発電による売電事業を行う投資家やオーナーにとって、発電量の低下は収益減に直結するため、対策を検討する人が増えています。そうした中で注目を集めているのが「リパワリング」です。
今回は、このリパワリングの意味やメリット・デメリットについてまとめます。

目次

    太陽光発電におけるリパワリングの必要性

    太陽光発電におけるリパワリングとは、太陽光発電の各種機器のアップグレードやリプレイス、新規導入などを行うことで、発電能力を高めることを指します。
    たとえば、主要機器であるパワーコンディショナーは、経年劣化によって故障のリスクが高まります。そこで、主に新たな機器に交換する等の方法で、発電能力を復活させるのが、リパワリングの役割です。
    また、機器を長く使っていけば、最終的にメーカーの保証期間が終了します。このタイミングで、より高効率な機器へとリパワリングを行うことも、太陽光発電においては重要です。

    メンテナンスとの違い

    リパワリングと同じく、機器に関わる作業としてメンテナンスがあります。両者の違いについても、正しく理解をしておきましょう。
    一般的に、太陽光発電所のメンテナンスとは保守点検を意味しており、太陽光パネルはもちろん、パワーコンディショナーや集電盤、架台など、さまざまな装置や部品の点検・整備を行い、発電効率の“維持”に努めます。

    一方、リパワリングは機器の入れ替えやパーツの交換を行うことで、発電効率の改善や増強を図る取り組みです。既存の機器と同等かそれ以上の性能を持った機器を導入することで、低下した発電効率を高水準へと戻すことを目的としています。
    太陽光発電を運用する際には、メンテナンスとリパワリング、それぞれの取り組みが欠かせません。既存の機器の発電効率をメンテナンスで維持すると共に、経年劣化が激しい機器についてはリパワリングで復活をさせることが重要です。

    【参考】:太陽光発電の発電量はどれくらい?計算方法や効率的な運用方法を紹介

    海外におけるリパワリングの状況

    再生可能エネルギーの導入が進むヨーロッパ諸国では、太陽光発電所に対する積極的なリパワリングが行われています。その理由として、太陽光発電所の価値やリスクなどを技術的側面から調査する「テクニカル・デュー・デリジェンス」というものがあります。これは、銀行や投資家、発電所オーナーの依頼により行われています。
    テクニカル・デュー・デリジェンスが実施されていない状態は、投資家からすると利益損失のリスクでもあります。そのため、海外では定期的な調査をするのが一般的となっています。

    そして、テクニカル・デュー・デリジェンスの結果が芳しくない場合には、リパワリングが行われます。見込み発電量を下回った時点などに、収益を想定の範囲に戻すためにリパワリングを実施し、発電所の出力を復活させているのです。
    技術的な調査や評価を受けていない発電所では、発電量や効率の低下について定量データに基づく分析が行われず、知らず知らずのうちに想定収益から大きく乖離してしまうケースも考えられます。

    太陽光発電をリパワリングするメリット・デメリット

    太陽光発電をリパワリングするメリット・デメリット

    次に、太陽光発電におけるリパワリングのメリットやデメリットについても見ていきましょう。主なメリットは、効率改善によって発電量が増え、売電収益を増やせる可能性がある、という点です。いくつかポイントを絞り解説します。

    【メリット】発電量の改善および増大

    リパワリングによって機器のリプレイスや最新パーツへの交換がなされると、発電量の改善および増加といったメリットが得られます。
    たとえば、近年登場しているパワーコンディショナーは、以前のモデルに比べると変換効率が大幅に向上しています。さらに、設計もコンパクトになっているため省スペース化にも寄与します。

    なお、「現在使用しているパワーコンディショナーが保証期間内なので、交換はまだ先」とお考えの方も多いでしょう。しかし実際、大規模な発電所や、長い期間運用し続けている場合には、リパワリングがおすすめです。FIT期間が残りわずかだったとしても、利益の最大化につなげることができます。

    【メリット】メンテナンスコストの低減

    続いてのメリットは、メンテナンスコストの削減です。FIT買取期間は20年。一方、多くの太陽光発電機器は、保証期間が10年程度となっています。この時期を過ぎると、経年劣化などの影響によりパワーコンディショナーの不具合や故障などが多くなる傾向があります。修理を行えば使用の継続はできますが、効率を元に戻すのは困難です。また、故障中は発電ロスも発生するため、収益にも影響が出てしまいます。

    リパワリングによって機器やパーツが交換されれば、不具合の発生頻度が抑えられることにより、故障対応等のメンテナンス費用の削減につながる場合もあります。リパワリングにかかるコストやランニングコストなどを踏まえた上で、実施を検討するようにしましょう。

    【参考】:太陽光パネルの寿命は何年?故障の原因や長期的に使う方法も紹介

    【メリット】売電収益アップ

    太陽光発電所を運用していくなかでは、いかにトータルの売電収益を得るかが重要です。リパワリングは、その目的を果たすのに有効な手段です。
    すでに解説したとおり、リパワリングによって高効率な機器が導入されれば、発電量が増えます。経年劣化で発電量が低下している機器を使い続けた場合と比較して、FIT期間が終了するまでの残り期間で収益アップにつながるケースがあります。とくに、FIT制度開始のタイミングで導入されたパワーコンディショナーは、現在のものに比べると変換効率が低いため、リパワリングによって発電量の増加が見込めます。

    また、運用期間の長い太陽光発電所の場合はFIT制度の買取価格が高い傾向にあります。そこで発電量を増やすことができれば、さらなる収益改善も期待できるでしょう。

    【デメリット】コストとのバランス

    最後に、ひとつ注意したいのはリパワリングにかかるコストです。当然ではありますが、新たな機器を導入するにはコストがかかります。その費用を考えると、太陽光発電所の出力が低下したからといって、必ずしもリパワリングを行う必要はありません。ポイントは利回りです。リパワリングによって利回りが改善されるのであれば、導入を前向きに検討しましょう。イニシャルコストが高すぎて、回収までに時間がかかってしまう、というケースも同様です。
    まずは利回りを計算し、その上でリパワリングが必要かどうか検討しましょう。

    まとめ

    経年劣化によって効率が低下している場合はもちろん、古い年式のものであれば、リパワリングによって得られる効果は少なくありません。低効率な機器での運営継続は「利益が損なわれている」と言っても過言ではないでしょう。発電量の増加やメンテナンスコストの削減など、メリットも非常に多い方法なので、ぜひ前向きに検討してみてください。

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