自家消費型太陽光発電システムとは?
まず、自家消費型太陽光発電とはどのようなものなのか、概要や近年注目され始めた理由について説明します。
自家消費型太陽光発電システムとは
自家消費型太陽光発電とは、太陽光発電でつくった電気を電力会社に売らずに、工場や店舗などの自社設備で使用するシステムです。発電した電気をすべて電力会社に売る「全量売電型」と異なり、自社でつくった電気を自社で消費するため、その分電力会社から買う電気を減らすことができ、電気料金を削減できます。
自家消費型太陽光発電システムはなぜ注目され始めたのか
自家消費型太陽光発電はさまざまな背景によって、近年注目され始めています。その理由としては、大きくわけて次の2つが挙げられます。
・気候変動に関する国際的な枠組みへの対策
まず、挙げられるのが、再生可能エネルギーを導入し、気候変動対策をしようとする世界的な流れです。2015年12月にCOP21で採択された温暖化対策の枠組み「パリ協定」を筆頭に、以下の取り組みへの関心が世界的にも高まっています。
「SBT」:「Science Based Targets」の略。パリ協定で示された産業革命時期比の気温上昇を2℃未満に抑えるために、企業に対して科学的な知見と整合した削減目標を設定するように求めるイニシアチブ。
「RE100」:「Renewable Energy 100%」の略。事業運営に必要なエネルギーを 100%再生可能エネルギーでまかなうことを目標に掲げる企業が加盟する国際的な企業連合。
「ESG投資」:環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮している企業への投資。
また、2020年10月26日に行なわれた菅首相の所信表明演説でも「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と、日本でも気候変動対策が活発になる流れになっています。
・電気料金の上昇と売電単価の下落
2つ目の理由は、電気料金の上昇と売電単価の下落です。
近年、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)や様々な要因から、電気料金は上昇傾向にあります。一方で、固定価格買取制度における売電単価が大きく下落しているため、「全量売電型」のように発電した電気を売るメリットが少なくなってきています。
つまり、発電した電気を売るよりも、自社の使用電力に充てた方が電気料金の削減効果を期待することができ、経済効果を見込むことができるのです。
自家消費型太陽光発電システムの仕組み
では、自家消費型太陽光発電の仕組みはどのようになっているのでしょうか。全量売電型との違いについても解説します。
全量売電型と自家消費型
・全量売電型
太陽光発電でつくった電気を、すべて電力会社へ売る仕組みを指します。 自社設備で使用する電気は電力会社から購入します。
・自家消費型
太陽光発電でつくった電気を、優先的に工場や店舗などの自社設備で使用する仕組みです。 自家消費型には「全量自家消費型」と「余剰売電型」があります。「全量自家消費型」はつくった電気をすべて自家消費するのに対し、「余剰売電型」は、自家消費しきれず、使い切れなかった電気を電力会社へ売ることができます。
近年は再生可能エネルギーの導入が国際的なトピックになっており、また電気料金の上昇や売電単価の低下など、さまざまな要因から自家消費型が特に注目されています。
自家消費型太陽光発電システムを導入するメリット5つ
では、具体的に自家消費型太陽光発電を導入するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。以下で5つのメリットを解説します。
電気料金を削減できる
自家消費型はつくった電気を自家消費するため、電力会社から買う電気が少なくなり、電気料金の削減につながります。
また、蓄電システムを導入すれば電気を貯めておけるので、最も多くの電力を使用する時間帯に、貯めておいた電力を充当することでピークカット※が可能です。
※ピークカット:最も電力を使用する時間帯の電力消費量を減らすことで最大需要電力(デマンド)を引き下げること。基本料金の削減が期待できる。
BCP(事業継続計画)対策
蓄電システムを採用することで、災害が起きた場合でも蓄電池から一定の電力供給が見込めます。晴れていればその場で発電した電気を自家消費できるので、万が一電力会社からの供給が止まっても安心です。
また、災害時の電源確保はBCP(事業継続計画)対策としても注目されています。地震や台風で数週間電力供給が止まる事態に備え、蓄電システムや自家消費型太陽光発電を導入しておくことで経済的損失を抑える対策となります。
参考:BCP(事業継続計画)とは?策定のポイントと対策について解説https://www.solar-frontier.com/jpn/blog/pages/bcp.html
CO2排出量の削減
自家消費型太陽光発電の導入によってCO2排出量を削減するという環境価値を生み出します。この取り組みを企業としてのCSR(企業の社会的責任)活動として対外的に伝えることで、企業評価の向上につながります。
また、太陽光発電システムは、工場立地法における「環境施設」としてカウントされるため、その分の緑地面積を他の目的に有効活用することが可能です。
FIT制度(固定価格買取制度)による売電が可能
FIT制度(固定価格買取制度)の要件を満たすことで、太陽光発電でつくった電気のうち、自家消費では使い切れなった電気を20年間電力会社へ売電することができます。
制度認定にあたっては、10kW以上50kW未満の太陽光発電であること、自家消費型の地域活用要件として自家消費率30%以上であること、自家消費計画の提出を求められるなど諸条件が定められています。
節税効果
税制優遇措置等の活用で、節税効果が期待できます。
中小企業経営強化法では、資本金か出資金の額が1億円以下の法人が、令和3年3月31日※までに一定の設備を新規取得して指定事業に使う場合、即時償却か、取得価額の10%の税額控除を受けられます(資本金3,000万円以上1億円以下の法人は7%)。
※令和5年3月31日までに延長となる見込み。
生産性向上特別措置法では、新たに取得した設備投資について中小企業が自治体の認定を受けた場合、固定資産税が最大で3年間0円になる特例※があります。
なお、対象となる具体的な設備や事業・業種、特例率は各自治体によって変わるため、自治体ごとに策定されている「導入促進基本計画」の確認が必要です。
※固定資産税の特例を受けられるのは、資本金が1億円以下の法人等(大企業の子会社をのぞく)に限定されています。
自家消費型太陽光発電システム導入検討の際のポイント
それでは、自家消費型太陽光発電を検討する場合、どのようなポイントに気を付けて選べばよいのでしょうか。以下で説明していきます。
電力使用状況
自家消費型は、発電した電気をどれだけ施設内で消費できるかが重要になります。電気使用量よりも発電量が多いと、電気を損失してしまうことになるので、一般的には、日中の電気使用量が大きい施設や休業日が少ない施設であるほど、自家消費型のメリットが大きくなります。
建物の状況
屋根に太陽光パネルを設置する場合、建物の築年数や耐荷重も事前に把握しておくことが重要です。屋根形状や種類によって設置方法も異なるので、設置を検討する建物がどういった屋根になっているのかも確認しておきましょう。
運転開始までの流れ
お問い合わせから運転開始までの流れも一通り把握しておきましょう。まず、メーカーや施工会社からヒアリング・現地調査を実施してもらいましょう。その後、シミュレーションやプランなどの提案・見積などを取得します。契約後、設置工事を経て運転開始となります。設置までは、最短でも6か月程度はかかります。
補助金情報の確認
令和3年度には、環境省の重点施策としても、「ゼロカーボンシティ再エネ強化支援パッケージ」として太陽光発電に関する施策が取り上げられています。また、東京都では「地産地消型再エネ増強プロジェクト」として助成対象経費の2/3以内(中小企業などの場合)の範囲で補助金を出すなど、独自の補助金を設けている自治体もあります。
メーカーや施工会社の選定
自家消費型太陽光発電は、自社設備の電力を担う大切な資産であるため、長期にわたって安定稼働できなければなりません。メーカー・施工会社を選ぶ際は、安さだけでなく施工品質や信頼性、アフターサービスの有無などもしっかりと確認しておきましょう。
まとめ
この記事では、自家消費型太陽光発電の概要やメリット、導入を検討する際のポイントなどをご紹介しました。
自家消費型太陽光発電には、電気代の削減をはじめとしてBCP対策やCO2の削減など多くのメリットがあります。世界的に優先課題と考えられている気候変動対策に貢献できるなど、企業イメージの向上にも効果的といえます。
また、各種補助金制度を利用すれば、初期費用も想定より安く抑えられるかもしれません。
気になる方は、一度メーカーや施工会社に見積りを取ってみてはいかがでしょうか。
もちろん弊社ソーラーフロンティアでも自家消費型太陽光発電システムのご提案が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
詳しくはこちらのページでも、導入までの流れや企業様の設置事例などを紹介しています。ぜひご覧ください。
https://www.solar-frontier.com/jpn/produce_consume/