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2023.08.08

【企業向け】ソーラーカーポートとは?導入メリットや補助金について解説

【企業向け】ソーラーカーポートとは?導入メリットや補助金について解説

屋外で、ある程度の敷地面積があり、太陽光を遮るものが少ない駐車場は、太陽光発電を行うのに適した場所と言えます。駐車場を活かしつつ太陽光パネルを設置できる手法が、ソーラーカーポートです。

太陽光パネルの設置を検討する際、建物の屋根上だけでなく駐車場も設置場所の候補となります。屋根設置の場合とソーラーカーポートを設置する場合にどのような違いがあるか、気になる方も多いことでしょう。

そこで今回は、企業向けのソーラーカーポートの概要やメリット、設置における注意点、補助金情報に至るまで検討に役立つ情報をご紹介します。

目次

    ソーラーカーポートとは

    太陽光発電システムの導入手法として、多くの方は「建物屋根への設置」を連想されるでしょう。実際、太陽光パネルの設置場所において、屋根への設置が最もポピュラーです。しかしながら、屋根面積や形状、耐荷重などの条件により、設置が難しいケースも少なくありません。このような場合の代替策として、駐車場に設置するソーラーカーポートが有効です。既存の駐車スペースを確保しながら、上部の空間を活かすことで太陽光発電を行えることが最大の特長です。

    搭載型と一体型

    ソーラーカーポートには、カーポート屋根の上に太陽光パネルを後付けする「搭載型」と太陽光パネル自体が屋根構造を兼ねる「一体型」という2タイプがありますが、自社敷地の駐車場にソーラーカーポートを新設する場合は、一体型ソーラーカーポートを導入することが一般的です。

    一体型ソーラーカーポートでは、設計段階から太陽光パネルを載せる前提で耐荷重、耐風圧などの強度計算が行われることから、設置後、より安心・安全に駐車場を利用できるという利点があります。また、搭載型では屋根端から一定の離隔距離を確保し太陽光パネルを設置する必要がありますが、一体型ではその必要がなく太陽光パネルの設置有効面積を広げることができ、より高効率であると言えます。

    バリエーション

    ソーラーカーポートの中には、前後左右に柱を備える4本足タイプ、後方左右に柱を備える2本足タイプなどの種類があります。2本足タイプのものは、前方に柱がないため、利用者にとって駐車がしやすく、デザイン性にも優れていることなどが利点です。

    企業がソーラーカーポートを活用するメリット

    次に、企業がソーラーカーポートを活用するメリットにはどのようなものがあるかまとめてご紹介します。

    屋根設置が難しい場合の代替策

    屋根の面積が小さい、耐荷重が不足しているなど、太陽光パネルを屋根へ設置することが難しい場合に、ソーラーカーポートは有効な代替策となります。

    屋根設置と合わせて設置容量アップ

    自社施設の屋根のみでは、必要な容量の太陽光パネルが設置できない場合に、駐車場にソーラーカーポートを導入することにより、設置容量を増加させることができます。

    敷地の有効活用が可能

    駐車スペースを確保したまま、上部空間を活用して太陽光発電が可能です。

    対外的にアピールしやすい

    自社敷地の駐車場にソーラーカーポートが設置されている場合、屋根上と比較し外部からも確認がしやすく、対外的なアピールにつながります。脱炭素化への取り組みに積極的な企業であることが、対外的に発信しやすいなどのメリットがあります。

    【参考】:脱炭素化とは?その実現に向けた企業の取り組みを徹底解説!

    地域の防災対策として貢献可能

    停電時に電力供給を可能とするシステム設計とすることで、災害時に地域住民の防災拠点として役立てることができ、地域貢献につながります。

    【参考】:BCP(事業継続計画)とは?策定のポイントと対策について解説

    福利厚生の充実

    自社敷地の駐車場へソーラーカーポートを設置することで、自動車通勤者への福利厚生の充実に繋がります。雨天時の雨除けだけでなく、真夏時に車体の温度上昇を抑制することができ、従業員にとっても大きなメリットになります。

    ソーラーカーポートを設置する際の注意点

    次に、ソーラーカーポート設置時に気を付けるべきポイントについて解説します。

    初期費用が割高

    面積の広い駐車場にソーラーカーポートを導入する際、数千万円規模以上の初期費用が必要です。設置環境や条件にもよりますが、一般的には、屋根設置の場合と比較して初期費用が割高になる傾向があります。

    建築確認申請が必要

    ソーラーカーポートは、建築基準法に基づく「建築物」に相当するため、建築基準法に則った設計・施工・監理が必要です。この点では、土地に自立して設置する太陽光発電システムとは運用が異なるため、注意が必要です。

    災害時への対策

    ソーラーカーポートを導入する敷地が土砂災害警戒区域又は洪水浸水想定区域に含まれていないか、地方公共団体が作成するハザードマップ等で事前に確認を行っておくことが重要です。これらの区域に該当する場合には、災害時に設備を保全させるための措置を検討しておく必要があるでしょう。

    【補助金情報】新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業 ソーラーカーポート事業

    【補助金情報】新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業 ソーラーカーポート事業

    ソーラーカーポートの設置に利用できる補助金として「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業 新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業 ソーラーカーポート事業」があります。

    その名の通り、ソーラーカーポートを設置する事業者への導入支援を行うものであり、令和5年度にも実施されました。来年度の公募については未定ですが、ソーラーカーポートの導入を検討されている方は、ぜひ事前にチェックしておきましょう。以下より、令和5年度(令和4年度 補正予算)の内容について掲載します。

    対象となる事業

    駐車場を活用した自家消費型太陽光発電設備(ソーラーカーポート)の導入を行う事業が対象です。ただし、以下の要件を満たしている必要があります。

    1. 導入設備による発電量の50%以上を導入場所の敷地内で自家消費すること。

    2. 『(太陽光発電設備等の補助対象経費)×2/3 ÷(パワーコンディショナの最大定格出力)』が、10kW未満:27.25万円/kW、10kW以上50kW未満:26.44万円/kW、50kW以上:17.84万円/kWを下回るものであること。
    ※建築基準法の多雪地域(垂直100cm以上)においては、10kW未満:32.80万円/kW、10kW以上50kW未満:31.73万円/kW、50kW以上:21.41万円/kWを下回るものであること。

    3. パワーコンディショナの最大定格出力の合計が、5kW以上であること。積載率(太陽光発電モジュール容量÷パワーコンディショナの最大定格出力)は、1以上であること。

    4. 停電時に電力供給が可能なシステム構成であること。

    5. 本事業によって得られる環境価値のうち、需要家に供給を行った電力量に紐づく環境価値を需要家に帰属させるものであること。

    6. 固定買取制度(FIT)の認定又はFIP制度の認定を取得しないこと。

    7. 電気事業法第2条第1項第5号ロに定める接続供給(自己託送)を 行わないものであること。

    補助対象設備

    1. ① 太陽光発電一体型カーポート
    2. ② 太陽光発電搭載型カーポート
    3. ③ 定置用蓄電池
    4. ④ 車載型蓄電池
    5. ⑤ 車載型蓄電池の通信・制御機器
    6. ⑥ 車載型蓄電池の充放電設備又は充電設備

    補助対象設備の設置に係る工事費も補助対象となります。

    なお、各補助対象設備には適合要件が定められているため、詳細は公募要領などでご確認ください。

    【出典】:再生可能エネルギー事業者支援事業費(ソーラーカーポート) 公募概要

    (一般社団法人 環境技術普及促進協会HP)

    補助金の交付額

    補助金の交付額は、対象経費の3分の1(上限は1億円)です。車載型蓄電池、充放電設備及び充電設備の補助率は異なります。

    【参考】:【法人/事業用】太陽光発電の補助金について徹底解説

    まとめ

    ソーラーカーポートは、自社施設の屋根上に太陽光パネルが設置できない場合にも検討できる太陽光発電の選択肢です。屋根設置が難しい場合や、更に設置容量を確保したい場合、駐車場を有効活用したいとお考えの方は、ぜひ導入をご検討してみてください。