事業者向けのPPAでも使える太陽光発電システムの補助金である、ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業の概要をわかりやすく解説。工場や大型店舗などの事業者様で太陽光発電システム・蓄電池の導入を検討される方は必見の内容です。
今回は、事業者様での太陽光発電システムの導入で活用できる補助金制度「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」を紹介していきます。
初期費用ゼロで太陽光発電システムや蓄電池を導入できるPPAという仕組みがありますが、補助金を活用することでさらに導入をスムーズにできます。
しかし、補助金制度ならではの注意点や条件などもあり、これから太陽光発電システム・蓄電池を導入検討される方は参考に最後までご覧ください。
それでは、今回の記事の要点からみていきましょう。
記事の要点
・2025年前半では令和6年度分は終了しているものの、環境省の概算要求で令和7年度までの継続が見込まれます
・「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」では、蓄電池を導入した方が経済メリットが出るような事業に対して補助金が出ます
・気になる補助金額(太陽光発電システム)は、自家購入での設置で4万円 / kW、PPA・リースでの設置で5万円 / kW(令和6年度の場合・令和7年度の見込)の予定です
・蓄電池の補助金額は、補助対象経費の3分の1、もしくは 4万円 / kWh × 蓄電容量の少ない方となります(令和6年度の場合)
・交付決定には提出された書類が審査され、公募要領の記述に沿っているかどうかの基本的な内容に加えて、加点要素なども盛り込めるかどうか?も決め手となってきます
・補助事業のサポートも一気通貫での対応ができる事業者選定が最終的には重要となります
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業の概要
まず、この補助金制度は事業者様が工場・ビル・大型店舗に太陽光発電システムを導入するときに活用できる補助金制度の1つです。
自社所有だけでなく、PPAという初期費用ゼロで太陽光発電システム・蓄電池を導入できる制度でも利用できる点が、この補助金制度の大きなポイントです。
2025年1月時点では令和6年度分は終了しているものの、環境省の概算要求では令和7年度までの継続が見込まれています。
それでは最初に、ここまでの時点で普段は聞き慣れない単語がいくつか出てきているため、用語の解説を簡単に挟んでから、補助金制度の概要にうつります。
用語の解説
①ストレージパリティ
【画像作成】:ソーラーフロンティア
ストレージパリティとは、太陽光発電システムの導入費用およびランニングコストにおいて、蓄電池を併用した方がトータルの経済メリットが大きくなる状態のことを指します。
つまり、上図のように「太陽光発電システムの初期費用+月々の電気料金」よりも、「太陽光発電システム+蓄電池の初期費用+月々の電気料金」のほうが安くなる状態となります。
国としても、太陽光発電システムだけでなく蓄電池の普及をすすめていきたい意向もあり、「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」では太陽光発電システムのみでは対象外となり、蓄電池と併用で設置される事業が補助対象となります。
②PPA
【画像作成】:ソーラーフロンティア
PPAは「Power Purchase Agreement(電力販売契約)」の略語です。
太陽光発電システムを設置した事業者(需要家)は、建物の敷地や屋根などのスペースを提供し、PPA事業者はその敷地や屋根に太陽光発電システムの設置・管理などを行ないます。
太陽光発電システムが設置されている建物では、発電した電気を自社で使うことができますが、使った分はPPA事業者などに電気料金として支払う対応が必要です。
契約によって若干異なる部分がありつつも、PPAで共通するメリットは以下の3つです。
・PPA事業者が太陽光発電システムを初期費用ゼロで設置することで、需要家は自分で初期費用を支払うことなく設置できる ・使った分の電気料金は支払う必要があるものの、地域の電力会社などから購入してくる電気料金より安価になるケースが多い ・契約期間終了後に、一般的には需要家に無償譲渡される |
【関連記事】:日本で広がりつつある「オフサイトPPA」とは?オンサイトPPAとの違いについても解説
補助金額
制度でもっとも気になる補助金額について紹介します。
補助金は、太陽光発電システムと蓄電池それぞれの容量に応じて決められます。
補助金額は以下の表の通りです。
設備 | 補助金 | 備考 |
太陽光発電システム(PPA・リース) | 5万円 / kW | ※令和7年度の見込(環境省・概算要求より) |
太陽光発電システム(購入) | 4万円 / kW | ※令和7年度の見込(環境省・概算要求より) |
定置用蓄電池 | 補助対象経費の3分の1 もしくは 4万円 / kWh × 蓄電容量 の少ない方 | ※令和5年補正・令和6年の場合 |
車載型蓄電池 | 蓄電容量(kWh)× 2分の1 × 4万円 / kWh※V2Hシステムとセット購入する場合のみ | ※令和7年度の見込(環境省・概算要求より) |
なお、補助金の交付額の上限額は太陽光発電システムで2,000万円、定置用蓄電池などで1,000万円となっている点も押さえておきましょう。
また、補助金制度全体に比較的共通している注意点ですが、同一設備において国(環境省・経済産業省など)からの別の補助金などを併用できないことも知っておきましょう。
補助事業モデル例
ケース① 600~100m²程度の工場・大型店舗で太陽光発電システムを導入
オンサイトPPAで、仮に太陽光発電システム(100kW・パワーコンディショナ容量)・蓄電池(20kWh・設置費用210万円 ※税込・工事費込)を導入すると、以下のような補助金額になります。
・太陽光発電システム:500万円 ※100kW×5万円/kW=500万円
・定置用蓄電池:70万円 ※210万円×1/3=70万円 < 20kWh×4万円=80万円
2つのシステムで580万円の補助金が受けられる計算になります。
制度利用における主な注意事項
①自家消費型の太陽光発電設備の導入を行う事業であること
発電した電気を、リアルタイムで建物内で優先的に消費する自家消費型が前提になります。
②太陽光発電設備の発電電力を系統に逆潮流しないものであること(余剰売電禁止)
電力会社側が買い取ってくれるFIT(固定価格買い取り)の制度、またはFIP(フィードインプレミアム)制度の認定を取得しないことが条件になっています。
③停電時にも必要な電力を供給できる機能を有する太陽光発電設備などを導入すること
BCP対策にもなるよう、停電時は必要な電力を供給できるシステムが対象になります。
④補助事業者(代表申請者、共同申請者)と需要家(共同事業者)が直近の決算で赤字でないこと
健全な経営基盤と事業の継続を前提として補助金を出すため、決算書の提出および赤字(債務超過)でないことなどの条件があります。
以上の内容以外にも様々な注意事項があります。
補助金を活用していきたい事業者様は、設計・工事だけでなく制度概要や申請対応に慣れている事業者・メーカー選定も大事になってきます。
補助決定までのフロー
【出典】:一般財団法人 環境イノベーション情報機構 (EIC)・R5補正・R6公募資料
令和7年度の制度は、2025年(令和7年)4月以降に公募が開始されるものと予測されます。
上図は、令和6年度(2024年度)におけるスケジュールになっていますので、参考としてご覧ください。
公募期間中に必要な書類をすべて揃えて提出する必要があり、このあたりも慣れていないと大変な作業です。
申請書以外にも導入における費用算出表や配置図、CO2削減計画表などの専門的な書類を用意しなければなりません。
さらに交付決定に至るまでに、提出された書類の審査があります。
審査に通過するには申請ノウハウが必要になるため、補助金申請の代行をコンサルティング会社に依頼するケースが多いですが、一般的に補助金額の20%程度の成功報酬が必要となります。
公募要領の記述に沿っているかどうかの基本的な内容に加えて、加点要素なども盛り込めるかどうか?も決め手になるため、事業ごとの状況を総合的に判断できる事業者といっしょにすすめていくことが補助金を上手く活用するカギとなるでしょう。
まとめ
今回は、令和7年度も注目度が高い、太陽光発電システム・蓄電池向けの補助事業である「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」の概要を紹介してきました。
ソーラーフロンティアでは、商品選定や見積だけでなく、「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」といった補助事業のサポートも、数多く手掛けております。
気になった方は、関連記事での経営効果などもあわせてご覧いただき、太陽光発電システムをはじめとした省エネ効果の高い機器の導入検討にお役立てください。
【関連記事】:【スーパーなどの大型店舗向け】実例紹介あり!太陽光発電の経営効果とは
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