記事の要点
・法定耐用年数とは、太陽光発電システムなどの設備機器の購入費用を、一定期間にわたって経費として分配できる会計処理としての年数のこと
・自動車製造工場の場合、自家消費型太陽光発電システムの法定耐用年数は9年という見解がある(国税庁)
・売電を目的とした太陽光発電システムは、国税庁ホームページで法定耐用年数17年となっているものの、現在は電力会社から買う電気量を減らす「自家消費型」が一般的
・太陽光発電システムの製品的な耐用年数は、パネルで25年以上、パワーコンディショナで10年程度と言われており、設備機器の中では相対的に長寿命なシステムで安心して導入できる
【法人向け】太陽光発電システムの法定耐用年数とは
法定耐用年数とは
まず、法定耐用年数とは設備機器の購入し、主に固定資産として使用する期間において、税法上の経費として認められる年数のことを言います。
すなわち、法人で太陽光発電システムを導入した場合、システム自体は経年とともに会計上の価値が減っていきます。
この「価値の減り具合」を、費用として少しずつ毎年経費に入れていくことを「減価償却」といいますが、その減価償却を行う期間として「この資産は何年間使えるものか?」という基準が法定耐用年数になります。
例えば、100万円の機械を購入し、法定耐用年数が10年であれば、100万円を10年に分けて経費として計上することで利益を減らし、節税につながっていくわけです。
太陽光発電システムも、この法定耐用年数があります。
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自動車製造工場の場合、太陽光発電システムの法定耐用年数は9年
自家消費型太陽光発電システムの法定耐用年数は、国税庁の見解では9年となっています。
※自動車製造工場の例
≪国税庁HP引用≫ Q:自動車製造業を営む法人が、自社の工場構内に自動車製造設備を稼働するための電力を発電する設備として設置した風力発電システム又は太陽光発電システムの耐用年数は何年ですか。 A:「風力発電システム及び太陽光発電システムに係る耐用年数は、いずれも減価償却資産の耐用年数等に関する省令(以下「耐用年数省令」といいます。)別表第2「23 輸送用機械器具製造業用設備」の9年が適用されます」 【参考】:風力・太陽光発電システムの耐用年数について|国税庁 |
昨今、太陽光発電システムを法人として導入される方の多くは、発電した電気を自家消費して、電力会社からの購入量を抑える仕組みとして導入されます。
国税庁ホームページでは、太陽光発電システムから生ずる電気を用いて、他の最終製品(自動車)が生産される場合、当該他の最終製品(自動車)に係る設備として、その設備の種類の判定を行うこと(一部要約)とあります。
すなわち、自動車製造工場を例にあげて、太陽光発電システムは自動車製造の機械に係る設備として認定するため、その自動車製造に関わる機械と同等の法定耐用年数となる、という見解になっています。
これは、あくまで自動車製造工場での自家消費型太陽光発電システムでの見解になるため、他業種・建物では異なる年数になる可能性があるため、担当会計士・税理士もしくは税務署にしっかり確認しておくと安心です。
17年で計上できるシステムは売電目的の全量型
一方、太陽光発電システムでも、発電した電気を自分で使うことなく、すべて売電する制度もあります。
その場合は、法定耐用年数が異なり、国税庁の見解では17年となっています。
※耐用年数省令別表第2「31 電気業用設備」の「その他の設備」の「主として金属製のもの」の17年
これは前章で解説した自家消費型太陽光発電システムが、電気を使って自動車を製造したり、事業を行うための電力とする場合、その事業における機械と見なされる一方、全量売電型の太陽光発電システムは電気を発電して売る独立した設備として認定されるわけです。
そのため、自家消費型太陽光発電システムとは、法定耐用年数の考え方も違ってくるわけです。
太陽光発電システムは実際の耐用年数も長い
さて、ここからは税務上の耐用年数ではなく、実際の製品として「どれくらいもつの?」という疑問に対する答えを解説していきます。
結論としては、電気設備としては非常に長寿命なシステムであり、上手に使えば初期費用を回収した後も、経済効果を出せる可能性は高いです。
パネルは25年以上・パワコンは10年以上
太陽光発電システムは、発電する部分である太陽光モジュール(パネル)、そして発電した電気を交流に変換するパワーコンディショナ(通称パワコン)が主な構成要素となります。
結論的には、パワーコンディショナは定期的にメンテナンスが必要ではあるものの、太陽光パネルは基本的に交換などは不要、と考えてよいでしょう。
パワコンは、直流電気を交流電気に変換するため、制御基板が入っており、冷却のためのファンなども内蔵されています。
そのため、基盤の調子が悪くなったり、ファンが稼動しなくなったりする可能性がありますが、一般的な耐用年数としては15年程度で交換などをおすすめしています。
それに対し、太陽光パネルは物理的な断線(鳥や獣による破断など)や表面ガラスの割れ(雹害・鳥が石などを落とす等)での交換等の相談はありますが、全く発電をしなくなる可能性は低い仕組みになっています。
そのわけは機械的な仕組みで発電をしているわけではなく、半導体に光が当たると、そこから電子が外に飛び出してしまう光電効果という「物質の性質」を利用した発電方法となっているため、「故障」する可能性が低いのです。
屋根の耐久性も伸びる
太陽光発電システムの副次的な効果としては、太陽光発電システムの下部の屋根材の耐久性を上げる効果もあります。
屋根に太陽光発電システムが載っていると、紫外線が当たりにくくなり、表面の劣化スピードが緩やかになります。
もちろん太陽光発電システムが載っていない部分は、通常通りの劣化想定になりますが、太陽光発電システムで隠れている屋根材まで塗り替えが必要と判断された場合、パネルを外して塗り替える等の対応も可能です。
さらに環境省の「COOL CHOICE」で紹介されている事例では、真夏の工場の屋根の温度が太陽光パネルの有無で、約10℃~5℃程度の差が出る例も示されていることから、劣化対策に加えて遮熱効果としても期待できる結果が出ています。
国内では40年稼働している太陽光発電システムもある
しかし、太陽光発電システムを導入されたことがない方は、目新しいモノであるが故に耐久性・耐用年数に不安を抱く方も少なくないでしょう。
太陽光発電システムの歴史を遡ると、各電機メーカーが本格的に研究を始めた1983~1984年頃をスタートとするデータが多く、これらのシステムは現在も稼働を続けているものも多くあります。
太陽光発電システムが、一般的に普及し始めたのは、2009年の太陽光発電の余剰電力買取制度、さらに2012年の再生可能エネルギー固定価格買取制度(改正FIT法)からと言われていますが、システムとしては約40年程度、劣化はありつつも発電が継続していることから、非常に長寿命なシステムであることがわかります。
まとめ
今回は、法人での税法上の法定耐用年数を解説してきました。
さらに太陽光発電システムは、長期間安定して使い続けることができるシステムとしても人気が高い機器です。
住宅およびビルなどに付帯する設備機器として10年を超える耐用年数や、さらには10年超のメーカー保証が存在する機器は珍しいと言えます。
経営を長く続けていく上で、光熱費削減などの効果と共に、減価償却での節税などにも上手く活用できる太陽光発電システム。
気になった方は、ぜひソーラーフロンティアまでお気軽にお問い合わせください。
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