太陽光発電の導入による節税の仕組み
2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーが注目されています。そんな中、太陽光発電設備を導入する企業が年々増えています。
太陽光発電設備の取得や維持のためにかかる費用については、経費として計上するなど、節税対策をしっかりしておくことが重要です。
うまく活用して、お得に太陽光発電設備を導入していきましょう。
企業が太陽光発電設備を導入する場合には、「自家消費型太陽光発電」と「全量売電型太陽光発電」の2つに分かれます。
節税方法や具体的に優遇される内容が異なるため、まずどちらのタイプを導入するかを確認しましょう。それぞれのタイプについてご紹介します。
◇自家消費型太陽光発電
「自家消費型太陽光発電」とは、太陽光発電設備から得られた電力を、自社内で使用する電気として消費するタイプの太陽光発電のことを指します。
社屋や倉庫、工場などで使う電力を太陽光発電でまかなうことで、電気代の削減や、脱炭素化が期待できるとして近年は主流となってきています。
固定資産税の支払い義務はありますが、太陽光で発電した電力を自社で全て消費している場合には、売電による売上は発生していないため、法人税の対象とはなりません。
【参考】:【2022年】自家消費型太陽光発電の事業性とは?費用対効果の計算方法も解説
◇全量売電型太陽光発電
「全量売電型太陽光発電」とは、太陽光発電設備から得られた電力の全量を、電力会社に売電するタイプのことを指します。固定価格買取制度(FIT)を利用して電力会社に売電します。
自家消費型太陽光発電と同じく固定資産税の支払い義務があることに加え、売電による収入を得られることから事業とみなされ、法人税の対象となります。
企業・法人が太陽光発電の導入で使える節税方法
ここからは、太陽光発電設備を法人が導入した後、実際に行える節税方法を2つご紹介します。
「自家消費型太陽光発電」と「全量売電型太陽光発電」で異なる点もあるため、どちらのタイプがあてはまるか確認しながら見ていただくと、よりイメージがつきやすくなります。
◇設備投資額と維持管理費を経費として計上する
太陽光発電の設備は償却資産として計上されるため、設備を導入する際にかかった費用は減価償却費として計上することができ、その結果、節税につながるといえます。
一般的に、太陽光発電の設備の法定耐用年数は17年とされていますが、自家消費型の太陽光発電では、導入した事業所や工場などで最終的に何を生産しているかによって耐用年数が異なります。
また、設備投資にかかった費用だけでなく、設備を維持・管理するための費用についても経費として計上することができます。
太陽光発電設備について、経費として計上できるものには以下のようなものがあります。
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設備や機器等の修理費用
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メンテナンスのための費用
これらを経費として計上して太陽光発電を運営することにより、中長期にわたって節税の効果が期待できます。
◇税制優遇制度を利用する
太陽光発電設備を取得する場合、「中小企業経営強化税制」と「中小企業投資促進税制」の税制優遇制度を活用することができます。
「中小企業経営強化税制」や「中小企業投資促進税制」では、太陽光発電設備などの特定の設備を導入した際に、「税額控除」もしくは「即時償却」の税制支援を受けることができます。
「税額控除」の場合は、太陽光発電設備に関する費用税額を最大10%控除することができます(資本金3,000万円以下の場合 ※1)。毎年安定した利益を出している企業におすすめの方法です。
「即時償却」「特別償却」の場合は、太陽光発電設備を導入した初年度に、設備費用を全額あるいは30%を一括して償却することができます。そのため、初年度の税金を抑えることが可能です。本業が好調で例年よりも利益が出ることが想定される場合などにおすすめの方法です。
「税額控除」または「即時償却」のどちらかを選択して適用することで、法人の金銭的負担を軽くすることができます。
※1:資本金3,000万円超1億円以下の場合は、設備費用の7%が税制控除の対象となります。
【参考】:【太陽光発電】導入時に適用可能な税制措置とは?中小企業等経営強化税制の概要や要件をわかりやすく解説!
<中小企業経営強化税制>
原則として経営力向上計画の認定を受けてから設備を取得する必要がありますのでご注意ください。
対象 | 中小企業者 資本金または出資金が1億円以下資本金または出資金を有しない法人の場合は、常時使用する従業員が1,000人以下 |
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支援措置 | 資本金3,000万円以下の中小企業者の場合、「即時償却」または「10%の税額控除」資本金3,000万円超1億円以下の中小企業者の場合、「即時償却」または「7%の税額控除」 |
適用期間 | 令和6年度末まで |
対象となる太陽光発電設備 | 自家消費型太陽光発電設備余剰売電型太陽光発電設備(※2) |
※2: 全量売電の場合には、電気業の用に供する設備になると考えられます。電気業については中小企業経営強化税制の指定事業に含まれておらず、対象となりません。余剰売電の場合、発電した電気の販売を行う期間中の発電量のうち、販売を行うことが見込まれる電気の量が占める割合が2分の1を超える発電設備等については、本税制措置の適用を受けられません。
<中小企業投資促進税制>
対象 | 中小企業者 資本金または出資金が1億円以下資本金または出資金を有しない法人の場合は、常時使用する従業員が1,000人以下 |
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支援措置 | 資本金3,000万円以下の中小企業者の場合、「30%の特別償却」または「7%の税額控除」資本金3,000万円超1億円以下の中小企業者の場合、「30%の特別償却」 |
適用期間 | 令和6年度末まで |
対象となる太陽光発電設備 | 自家消費型太陽光発電設備余剰売電型太陽光発電設備 |
上記は2023年1月時点の情報です。正式には中小企業庁HPにてご確認ください。
中小企業庁HP
太陽光発電導入による節税対策が優れている点
法人では様々な節税対策がありますが、太陽光発電導入による節税は、「資金効率がよくなること」「初期投資が回収できること」などの点で優れている方法ということができます。
◇資金効率面でのメリットがある
「自家消費型太陽光発電」の場合は、自社で発電することでコスト削減(電気代の削減)につなげることができます。また、災害対策として停電時などでも電気が使えるということや、脱炭素化などにも貢献できるところがメリットとして挙げられます。
【参考】:【2022年】自家消費型太陽光発電の事業性とは?費用対効果の計算方法も解説
◇初期投資が回収できる
太陽光発電の場合、「自家消費型太陽光発電」では電気代削減により、「全量売電型太陽光発電」では売電収入により、太陽光発電設備を用いて自ら初期投資を回収することが可能です。
節税の方法として、資金負担を伴うケースは少なくないですが、投資した施策内で初期投資にかかった資金を全額回収できるケースは多くありません。
太陽光発電の場合は、耐用年数に至る前に初期投資費用を回収することも可能です。
太陽光発電の初期投資額は、決して安くはありませんが、昨今の脱炭素化推進を追い風として、融資を比較的受けやすい状況にあり、導入のハードルも下がっています。
まとめ
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太陽光発電設備の取得や維持のためにかかる費用については、経費として計上するなど、節税対策をしっかりしておくことが重要
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太陽光発電設備を法人が導入した後、実際に行える節税方法は「経費として計上」「税制優遇制度の活用」の2つがある
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法人では様々な節税対策があるが、太陽光発電導入による節税は、「資金効率がよくなること」「初期投資が回収できること」などの点で優れている方法ということができる
この記事では、法人の太陽光発電の導入による節税の方法に関してご紹介しました。
弊社ソーラーフロンティアでも法人向け自家消費型太陽光発電導入のお手伝いが可能ですので、お気軽にお問い合わせください。