2022.02.03

エコアクション21とは?メリットやISO 14001との違いも紹介

エコアクション21とは?メリットやISO 14001との違いも紹介

環境へ配慮した取り組みが世界的に重要視されているなか、企業としても自主的かつ積極的な環境経営を行なうことが求められています。そのような背景を踏まえ、近年中小事業者を中心に注目を集めているのが、認証・登録制度の「エコアクション21」です。

本記事では、日本独自の規格であるエコアクション21の概要や、制定された背景、国際標準化機構(ISO)により制定された国際的な規格「ISO 14001」との違いを解説します。

エコアクション21を取得するメリットについても詳しく解説するので、環境経営の実現を目指す中小企業の担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

目次

    エコアクション21とは?

    エコアクション21とは、環境省が策定した環境マネジメントシステムのことで、組織や事業者等が環境へ配慮した取り組みを主体的・積極的に行なうための方法を定めたものであり、あらゆる事業者が効果的、効率的、継続的に環境に取り組めるよう工夫されています。

    エコアクション21では、必ず把握すべき環境負荷の項目として、二酸化炭素排出量、廃棄物排出量及び水使用量が規定されています。
    さらに、事業者が必ず取り組むべき行動として、次に挙げられる行動を行うことが必須要件とされています。

    1. 省エネルギー

    2. 廃棄物の削減・リサイクル

    3. 節水

    4. 自らが生産・販売・提供する製品の環境性能の向上及びサービスの改善

    エコアクション21は、企業が環境経営をするのに欠かせない事項が示された仕様書のようなものといえるでしょう。

    ガイドラインの要求事項を満たす事業者は「エコアクション21 認証・登録事業者」となり、認証・登録事業者の取り組みの結果は「環境経営レポート」として公表されます。

    2021年12月現在、エコアクション21の認証・登録事業者数は約7,900社を超えています。製造業のほかにも、建設業、廃棄物処理業、サービス業など、様々な業種の事業者が取り組んでいます。また全体の約90%が従業員100人以下の事業者で、まさに中小事業者に適した制度と言えます。
    認定・登録を受けるためには、事業者は、エコアクション21の取り組みを行い、最寄りの地域事務局に申込をします。地域事務局から審査員が派遣され審査を行い、その結果が判定委員会で「ガイドラインに適合」していると認められると、認証を取得することができます。

    エコアクション21の目的

    エコアクション21の目的

    パリ協定の発効やSDGsの採択などにより、近年、企業の環境経営を巡る情勢は世界的に見ても大きく変化しています。環境へ配慮した取り組みは、企業の業績をも左右する重要な戦略の一つです。

    参考:SDGs(持続可能な開発目標)とは?17個の目標、日本での取り組みについて解説

    しかし、環境経営が欠かせないとは理解していても、何から始めれば良いのかわからなかったり、自社のノウハウだけでは効率的に進められなかったりするのが現状でしょう。特に、経営資源の乏しい中小事業者の場合、環境経営のための資金調達や人材確保が難しく、ハードルが高くて取り組めないといったケースが想定されます。

    そこで、エコアクション21は幅広い組織が環境への取り組みを推進できるよう、中小事業者でも取り組みやすい日本独自の環境経営の仕組みとして制定されました。

    エコアクション21とISO 14001の違い

    環境マネジメントシステムの仕様を定めた国際的な認証規格が、国際標準化機構(ISO)の「ISO 14001」です。ISO 14001を取得した事業者は、環境に優しい経営活動に取り組んでいると国際的に認められることになります。

    以下では、エコアクション21とISO 14001との違いを項目別に紹介します。

    ◇規格の制定者

    1. エコアクション21:環境省

    2. ISO 14001:国際標準化機構(ISO)

    ◇規格の対象

    1. エコアクション21:おもに中小企業向け

    2. ISO 14001:おもに大企業向け

    以下で紹介する「登録にかかる費用」および「取り組みやすさ」の観点から、エコアクション21は中小企業向けの制度だといえます。

    ◇登録にかかる費用(従業員100人規模と想定した場合の目安)

    1. エコアクション21:約30万円(認証・登録期間は2年)

    2. ISO 14001:約160万円(認証・登録期間は3年)

    エコアクション21の登録にかかる費用には、審査費用と認証・登録料、2年分の更新登録料が含まれますが、上記費用はあくまで目安です。業種や業態、認証作業の進め方によって登録にかかる費用は大きく異なる可能性があります。

    とはいえ、エコアクション21よりもISO 14001の認証のほうが高いハードルのため、その分書類作成費用なども多く発生するでしょう。
    なお、審査の申し込みから認証・登録されるまでの期間についても、エコアクション21のほうが短く済むと想定されます。

    ◇取り組みやすさ

    1. エコアクション21:
      文書の様式や基準が決められているので構築しやすく、初めての事業者でも、無理なくシステムを構築することができる

    2. ISO 14001:
      文書の様式や基準は独自で作成しなければならず、導入・運用に際しては一定の専門知識が求められる

    エコアクション21を取得する3つのメリット

    エコアクション21を取得する3つのメリット

    エコアクション21を取得することで得られるおもなメリットは、次の3点です。

    1. ビジネスチャンスを拡大できる

    2. 金融機関から低金利で融資を受けられる

    3. 取引先や消費者からの信頼を獲得できる

    それぞれのメリットについて、以下で詳しく見ていきましょう。

    ◇ビジネスチャンスを拡大できる

    環境へ配慮した取り組みや環境経営システムの構築を取引条件とする企業は多く、エコアクション21を取得していれば、そのような取引条件に対応することができます。

    一方で、エコアクション21を取得していない事業者は、顧客から提示された取引条件に対応できず、ビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。

    また、建設事業者などの場合、公共工事における入札参加資格審査を受ける際に、自治体によっては加点を受けられる可能性もあります。

    ◇金融機関から低金利で融資を受けられる

    エコアクション21の取得企業に対し、多くの金融機関が低利融資制度を実施しています。
    環境経営のための設備資金や運転資金について、低金利で融資を受けられるという優遇措置は、経営資源の乏しい中小事業者にとって大きなメリットとなるでしょう。

    なお、エコアクション21に関連する金融機関による融資については、以下のページを参考にしてください。

    参考:エコアクション21 中央事務局 一般財団法人 持続性推進機構(IPSuS)

    ◇取引先や消費者からの信頼を獲得できる

    環境に配慮した経営は、企業の社会的責任(CSR)を果たすことにつながります。環境経営を実行し、第三者機関の認証を受けることで、取引先や消費者からの信頼獲得が可能です。

    また、エコアクション21を取得すると、ロゴマークが使用できるようになります。ロゴマークを積極的に活用し外部へPRすることで、企業価値を効果的に発信することができるでしょう。

    まとめ

    エコアクション21は、環境経営の仕組みとして制定された、日本独自の環境マネジメントシステムです。
    国際的な認証規格であるISO 14001と比べると、登録などにかかる費用や取り組みやすさの観点から、エコアクション21は中小企業向けの規格といえます。
    エコアクション21を取得すれば、以下の3つのメリットが得られるでしょう。

    1. ビジネスチャンスを拡大できる

    2. 金融機関から低金利で融資を受けられる

    3. 取引先や消費者からの信頼を獲得できる

    今後、エコアクション21の取得に向けて環境経営を実践する場合、選択肢の一つとして自家消費型太陽光発電システムを導入することが挙げられます。自家消費型太陽光発電システムとは、太陽光発電で発電した電気を電力会社に販売するのではなく、自社設備で活用するシステムのことです。

    電気料金の削減やCO2排出量の削減などさまざまなメリットが得られる自家消費型太陽光発電システムの導入を、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。

    自家消費型太陽光発電システムについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

    参考:【法人向け】自家消費型太陽光発電システムとは?基礎知識や導入のメリットなど解説

    参考:【法人向け】電気料金を削減するには?電気料金削減の成功事例を紹介