2022.02.28

【太陽光発電】導入時に適用可能な税制措置とは?中小企業等経営強化税制の概要や要件をわかりやすく解説!

【太陽光発電】導入時に適用可能な税制措置とは?中小企業等経営強化税制の概要や要件をわかりやすく解説!

企業が太陽光発電設備を新たに導入する場合、積極的な導入を後押しするために国が講じる税制措置を受けられる場合があります。

税制措置として以下の様なものが挙げられます。
・中小企業庁「中小企業経営強化税制」、「中小企業投資促進税制」
・経済産業省「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」

参考リンク:
中小企業庁HP 経営サポート「経営強化法による支援」
経済産業省HP 事業適応計画(産業競争力強化法)

ここでは、中小企業等向けに制定された「中小企業経営強化税制」の具体的な内容について解説します。

目次

    中小企業の経営力向上を図る「中小企業等経営強化法」とは

    日本では、人口減少や少子高齢化、人手不足の深刻化など、中小企業を取り巻く事業環境は一層厳しくなっています。そのような背景を踏まえ、経営力や生産性の向上により、中小企業の成長を促すことを目的として制定されたのが「中小企業等経営強化法」です。

    国は中小企業等経営強化法に基づき、事業分野ごとに課題や目標、経営力向上の方法などを「事業分野別指針」として示しています。事業分野別指針に沿って「経営力向上計画」と呼ばれる事業計画を策定した中小企業は、国の認定後、税制優遇や金融支援などの特例措置を受けることが可能です。また、計画申請においては、経営革新等支援機関のサポートを受けることが可能です。

    中小企業等経営強化法に基づく「税制措置」

    税制措置

    中小企業等経営強化法に基づく支援措置は、大きく分けて税制措置・金融支援・法的支援の3つです。以下では、支援措置のうち税制措置(中小企業経営強化税制)について解説します。

    ◇概要と得られる税制措置

    中小企業経営強化税制では、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得等して指定事業の用に供した場合、法人税※1について「即時償却」または「取得価額の10%※2の税額控除」のいずれかを選択適用できる制度です。

    1. ※1 個人事業主の場合には所得税
    2. ※2 資本金が3,000万円超1億円以下の法人は7%

    ◇対象

    中小企業経営強化税制は、青色申告書を提出している「中小企業者等」が対象です。中小企業者等とは、以下に該当するものを指します。

    1. 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人

    2. 資本または出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員が1,000人以下の法人

    3. 常時使用する従業員が1,000人以下の個人

    4. 協同組合 など

    ただし、以下に当てはまる法人は対象外です。

    1. 同一の大規模法人から2分の1以上の出資を受けている法人

    2. 2つ以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受けている法人

    3. 前3事業年度の平均所得金額が15億円を超える法人

    ◇期間

    適用期間は、平成29年年4月1日から令和5年3月31日までです。

    ◇対象となる設備

    制度の対象となる設備は、以下の4類型に分けられています。

    1. 【A類型】生産性を向上させる設備

    2. 【B類型】収益力を強化する設備

    3. 【C類型】デジタル化を推進する設備

    4. 【D類型】経営資源集約化に資する設備

    ◇指定事業

    制度の対象となる事業は、次のとおりです。
    映画業除く娯楽業は対象外のため、注意が必要です。

    製造業、建設業、林業、農業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、小売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、ナイトクラブ、キャバレーその他これらに類する事業では、生活衛生同業組合の組合員が経営するものに限る)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、宿泊業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、洗濯・美容・理容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、医療、福祉業、教育、学習支援業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)

    引用:国税庁 中小企業経営強化税制

    太陽光発電設備の導入で税制措置を受けるには

    太陽光発電設備の導入で税制措置を受けるには

    中小企業が太陽光発電設備を導入する場合も、要件を満たせば中小企業経営強化税制の対象となります。

    ◇概要

    太陽光発電設備は、中小企業経営強化税制の対象となる設備のうち「A類型:生産性を向上させる設備」または「B類型:収益力を強化する設備」の「機械装置」に該当します。

    <共通の要件>

    1. 取得価格が160万円以上

    2. 国内への投資であること

    3. 中古資産・貸与資産でないこと 等

    <A類型の場合の要件>

    1. 生産効率・エネルギー効率・精度などが旧モデルと比べ、年平均1%以上向上している設備

    2. 10年以内に販売開始されたモデル

    上記要件については、工業会などが発行する証明書の取得が必要です。

    <B類型の場合の要件>

    1. 年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれることにつき、経済産業大臣(経済産業局)の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備

    上記要件については、経済産業局が発行する確認書の取得が必要です。

    ◇対象外となる設備

    このとき、太陽光発電設備にあっては以下の対象外要件があることにも注意しましょう。

    ・発電した電気の販売を行う期間中の発電量のうち、販売を行うことが見込まれる電気の量の占める割合が2分の1を超える発電設備は対象外となる。

    また、経営力向上計画の認定申請時には「発電設備等の概要等に関する報告書」およびその記載内容を確認できる書類を添付する必要があります。

    まとめ

    中小企業等経営強化法とは、中小企業の経営力や生産性を向上させることにより、持続的な成長を促すことを目的としています。

    中小企業等経営強化法に基づく支援措置のうち、中小企業経営強化税制とは、新たに設備投資する際に、即時償却または取得価額の税額控除を受けられる制度です。企業の事業運営上、多くのメリットがある自家消費型太陽光発電設備も、要件を満たせば制度の対象となります。

    今回紹介した中小企業経営強化税制を有効活用し、自家消費型太陽光発電設備の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

    参考:【法人向け】自家消費型太陽光発電システムとは?基礎知識や導入のメリットなど解説