太陽光発電の発電量はどれくらい?計算方法や効率的な運用方法を紹介 | 法人向け省エネ対策について情報をお届けするサイト
2022.02.10

太陽光発電の発電量はどれくらい?計算方法や効率的な運用方法を紹介

太陽光発電の発電量はどれくらい?計算方法や効率的な運用方法を紹介

太陽光発電の導入を検討する際に気になるのが、「発電によりどれくらの電力を生み出すことができるか?」という点でしょう。
本記事では、太陽光発電の年間推定発電量や計算方法を紹介するとともに、発電量が下がる原因や効率良く運用するポイントについて解説します。

目次

    太陽光発電の推定発電量はどれくらいなのか?

    導入検討の際には、太陽光発電の設置容量に基づく年間推定発電量のシミュレーションを行なう必要があります。その必要性や基礎的な知識について説明します。

    ◇1kWあたりの年間推定発電量

    一般的に、太陽光発電の1kWあたりの年間推定発電量は1,000kWh程度とされています。

    ただし、1,000kWh程度というのはあくまで目安です。実際には、設置する地域や設置方位(太陽光パネルを向ける方位)、設置角度(太陽光パネルの傾き)、パネルの種類(種別毎の特性)、パワーコンディショナなど付属機器の効率、各種損失、周囲環境などに影響されるため一概には定義できません。

    ◇発電シミュレーションを行なう目的

    太陽光発電を設置する前に、推定発電量や経済性のシミュレーションを行うことで、導入することで得られるメリットがどのくらいになるかを定量的にイメージすることができます。
    特に自家消費型の場合には、供給先の電気使用状況や電力契約内容を加味したシミュレーションを行うことが必要であり、導入後の経済性試算は、企業毎に結果が異なってくるでしょう。

    参考:【法人向け】自家消費型太陽光発電システムとは?基礎知識や導入のメリットなど解説

    シミュレーションによって、運用期間内での収支計画を立てられるようになるほか、CO2排出削減量の推定値を算出することも可能です。

    kWとkWhの違いについて

    脱炭素化を推進する国内外の枠組み

    太陽光発電の発電量を考えるうえで、「kW」と「kWh」という単位が出てきます。両者の使い分けは間違いやすいポイントのため、ここで理解しておきましょう。

    ◇kW(キロワット)とは

    「kW」とは電力(出力)を表す単位であり、太陽光発電においては太陽光発電システム全体の容量、どれくらい発電する力があるかを示します。つまり、kWの値が大きいほどたくさん発電する能力があることになります。

    ◇kWh(キロワットアワー)とは

    「kWh」とは電力量を表す単位であり、太陽光発電においては1時間あたりの発電量を表す単位です。

    発電する電気の大きさ(kW)に、時間(h)をかけて計算した発電量がkWhであるため、計算式は「発電量(kWh)= 電力(kW)×時間(h)」となります。

    「例えば、4kWの発電を5時間続けた場合の発電電力量は次式で示されます。
     4(kW)×5(h)=20(kWh)

    太陽光発電の推定発電量の計算方法

    太陽光発電の年間発電量は一般的に次の式で求めることができます。

    年間発電電力量EPY=PAN×HA×K×365 [kWh/年]

    ここで、各記号の意味は以下のとおりです。

    PAN:標準状態における太陽電池出力 [kW]
    (標準状態:AM1.5、日射強度 1000W/㎡、太陽電池セル温度 25℃)
    HA:設置場所での日射量 [kWh/㎡・日]
    K:総合設計係数(温度補正係数、回路損失、機器による損失等で通常は 0.7 程度)

    参考:社団法人日本電機工業会 公共用・産業用太陽光発電システム計画ガイドブック

    ただし、発電量は、場所、季節、年、設置条件等によって変動することから、推定発電量として参考値に留めておく必要があります。

    発電量に影響を及ぼす環境要因

    kWとkWhの違いについて

    カタログなどに掲載されている太陽光パネルの出力は公称最大出力(定格出力)と呼ばれ、JIS(日本産業規格)が定めた「基準状態」で算出された値で示されます。「基準状態」というのは、例えば、太陽光パネルの表面温度25℃、日射強度1,000W/㎡といったようなものです。

    実際の出力は、一般的に公称最大出力よりも低くなります。出力を下げる主な要因は次のようなものです。

    ◇設置環境

    上述した「基準状態」と同じ自然環境というものは、滅多にはありません。日射量や気温、周辺の環境、屋根の方位や角度などの条件も設置環境により異なります。このうち、日射量とは一定時間に太陽光線に対して垂直な面で受けた直達日射エネルギーの単位面積当たりの数値を示すものであり、先の計算式に示した通り、太陽光発電の発電量に影響する重要な要素です。雨や雪の日が続くと太陽光が十分に当たらないため、日照不足により発電量が下がります。

    ◇経年劣化

    太陽光パネル導入後、経年劣化によって発電量が低下すると言われています。
    なお、太陽光パネルメーカーが行う出力保証では、保証開始から一定期間内、出力を保証してくれています。
    ※保証適用には不具合の原因に基づく適用可否や諸条件があります。

    ◇パネルの受光面の汚れ

    太陽光パネルは屋外に設置するため、パネルの表面が汚れやすい環境にあります。鳥の糞やホコリ、黄砂などの影響で発電量が低下することがあります。

    太陽光発電システムを効率的に運用するポイントとは

    太陽光発電システムを効率良く運用するためのポイントを紹介します。
    導入前の検討はもちろんのこと、導入後においてもシステムの維持管理を視野に入れ計画しておくことが大切です。

    ◇最適な設置場所の選定

    太陽光発電システムの発電量は、先に述べた環境要因の影響を大いに受けるため、導入検討の際には、できる限り慎重に設置場所を検討することが重要です。また設置条件により、導入コストも大きく変動します。特に自家消費型の場合には、導入コスト、推定発電量、推定電力消費量に基づく経済性シミュレーションにて、しっかりと確認を行うことがポイントです。

    自家消費型太陽光発電システムについて下記記事でまとめています。
    参考:【法人向け】自家消費型太陽光発電システムとは?基礎知識や導入のメリットなど解説

    ◇発電量をモニタリング(遠隔監視)

    遠隔監視装置を使って、太陽光発電システムが稼働している時間帯に異常がないかを監視する方法があります。仮に異常が起きた際に、導入した事業者本人だけでなくメンテナンス会社などともすぐに情報共有できるようなサービスを選べば、より迅速な対応が可能です。

    ◇定期点検をする

    機器の不具合や故障により発電効率が低下することがあるため、定期的なメンテナンスは設備を安定的に維持するうえで欠かせません。ほとんどのメーカーでは、保証期間中での交換・修理の依頼が可能であるため、不具合に早く気付くことで損失削減にもつながります。
    ※保証適用には不具合の原因に基づく適用可否や諸条件があります。

    まとめ

    本記事では、太陽光発電の年間推定発電量、計算方式、発電量に影響を及ぼす要因、効率的な運用方法などについて触れてきました。

    太陽光発電の導入検討にあたっては、最適な設置場所の選定、推定発電量や経済性のシミュレーション、効率的な運用計画などがポイントとなります。

    慎重に検討を重ね、自社に適した導入計画を立てて行きましょう。
    また、太陽光発電システムを長期にわたって安定稼働させるには、計画段階から保守管理計画を組み入れることも重要です。

    導入をご検討の際には下記の記事もご参考ください。 参考:太陽光パネルの寿命は何年?故障の原因や長期的に使う方法も紹介

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