再エネ100宣言 RE Actionとは
再エネ100宣言 RE Actionとは、企業、自治体、教育機関、医療機関等の団体が使用電力を100%再生可能エネルギーに転換する意思と行動を示し、再エネ100%利用を促進する新たな枠組みです。
引用:再エネ100宣言RE Action
ここでRE Actionの参加対象が、「RE100」の対象となるような影響力のある大企業(グローバル企業・多国籍企業・年間消費電力量が50GWh以上※)ではなく、中小規模の企業や企業以外の団体であることがポイントです。
※日本企業の場合
RE Actionは2019年10月に設立され、グリーン購入ネットワーク(GPN)、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)、公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)、イクレイ日本(ICLEI)、一般社団法人 地球温暖化防止全国ネット(JNCCA)の5団体で構成される協議会により運営されています。
◇「RE100」との違いとは
「RE100」とは、事業活動に必要な電力を100%再エネで賄うことを目指す、世界で最も影響力のある企業を結集したグローバルなイニシアチブであり、大規模なゼロカーボングリッドに向け変化を加速することを使命としています。参加対象は、グローバル又は国内での認知度・信頼度が高い企業、主要な多国籍企業、電力消費が大きい企業(100GWh以上。特例として日本企業は50GWh以上)、RE100の目的に寄与する、何らかの特徴と影響力を有する企業とされています。
しかしながら、RE100の対象に当てはまらない中小企業や団体の中にも、再エネ100%に賛同を示す企業や団体が多くあることから、そのような企業や団体でも参加できる日本独自の枠組みとしてRE Actionが発足しました。
なお、RE100について詳しくは以下の記事をご覧ください。
参考:RE100とは?加盟のメリットや企業事例を詳しく解説
RE Actionの参加要件について
RE Actionに参加するための条件などを紹介します。
◇対象となる団体
RE Actionは、日本国内の企業、医療機関、教育機関、自治体などの団体が対象となります。一方で、以下の団体は対象外です。
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RE100の対象となる企業(年間消費電力量が50GWh以上等)
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再エネ設備事業の売上高が全体の50%以上の団体
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主な収入源が、発電および発電関連事業である団体
◇参加要件について
参加要件は、以下の3点です。
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① 遅くとも2050年迄に使用電力を100%再エネに転換する目標を設定し対外的に公表すること
・参加団体自身のウェブサイトへ宣言内容を掲載(プレスリリース等の実施を推奨)
・中間目標の設定を推奨
目標例:2030年60%、2040年90%、2045年100%
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② 再エネ推進に関する政策エンゲージメントを実施すること
・再エネの普及に関する政策提言への賛同など
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③ 消費電力量、再エネ率などの進捗を毎年報告すること
・再エネの定義はTCGのRE100の基準に準ずる
・年次報告等にて、消費電力量の全団体集計値と各団体の再エネ率をRE Actionウェブサイトにて公開
RE Actionに参加するメリット
企業がRE Actionに参加することで得られるメリットについて解説します。
◇企業のイメージアップにつながる
RE Actionに加盟し、再エネ化に取り組んでいることを対外的に発信することで、自社のあらゆる利害関係者へのアピールが可能です。
その際に、RE Actionに参加していることを証明するRE Actionのロゴを、ホームページや名刺、会社案内に使用するなどしてPRに活かすことができます。
◇再エネ化のつながりで団体間の交流や情報収集ができる
再エネ100宣言RE Actionが主催・登壇・協力する各種イベント等への参加を通じて、RE100参加企業や、RE Actionの加盟団体と交流する機会が増え、再エネや脱炭素経営に関する幅広い情報収集や他団体との意見交換が可能となります。
加えて、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)およびRE Actionの参加メンバーで構成されるコミュニティーであり、再エネや脱炭素化に関する課題や知見・ノウハウ共有のウェブプラットホームである「脱炭素コンソーシアム」への参加が可能となることもメリットのひとつです。
参加団体の再エネ導入事例を紹介
積極的に、再エネ導入に取り組む自治体や教育機関、企業の事例を紹介します。
◇さいたま市
再エネ100宣言 RE Actionのアンバサダーであるさいたま市は、RE Actionの応援者としてPR等を行っています。また、これまで電気自動車普及施策「E-KIZUNA Project」や国から地域活性化総合特区として地域指定を受けた「次世代自動車・スマートエネルギー特区」などの事業を通じて、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)といった次世代自動車の普及、水素をはじめとする多種多様なエネルギーの供給によるエネルギーセキュリティの確保、CO2の削減といった環境・エネルギー分野の取組を推進してきました。
これらの取り組みが評価された結果、国から「SDGs未来都市」にも選定されています。
参考:さいたま市 「再エネ100宣言 RE Action」への参加について
◇千葉商科大学
千葉商科大学では2014年にメガソーラー野田発電所を稼働。2017年にはメガソーラー野田発電所を中心とした同大学所有の太陽光発電設備の発電量と、大学の消費エネルギーの総量を同量にする環境目標を宣言。2019年1月には発電量が消費電力量を上回りました。
2019年8月からは、同大学が所有するメガソーラー野田発電所の電気を活用し、市川キャンパスで購入する電力を順次再エネ由来の電力に切り替えています。日本初の「自然エネルギー100%大学」を目標に掲げた取り組みです。
参考:千葉商科大学 千葉商科大学のSDGSへの取組み
◇ライク株式会社
保育・人材・介護を軸とする生活総合支援事業を行なうライクグループでは、気候変動によると思われる様々な自然災害による損害や気温上昇に伴う人々の健康や生態系への悪影響などのリスクの増大が、人々の生活や企業活動に不可欠な社会基盤を脅かす重大な危機であるとの認識から、次の世代にバトンを渡し続けていけるよう持続可能な社会を実現することを自社グループの社会的責任と捉え、2020年に再エネ100宣言 RE Actionへの参加を表明しました。
2050年までに事業活動で消費する電力の100%を再生可能エネルギーに転換、中間期である2030年までに40%を転換するという目標を掲げています。
また、2021年には持続可能な開発目標(SDGs)実現を目指す取り組みの一環として、運営する400ヶ所の保育・介護施設のうち82ヶ所において、出光グリーンパワー株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:吉田 淳一、出光興産100%子会社)が提供する再生可能エネルギー100%の電気「プレミアムゼロプラン」の使用を随時開始することを発表しています。
参考:ライク株式会社
保育・人材・介護を軸とする生活総合支援のライクグループが『再エネ100宣言 RE Action』に参加
出光興産と協業 脱炭素社会の実現に向け100%再生可能エネルギー由来電力へ転換開始~保育・介護施設の再エネ転換により、「2030年までに40%転換」の中間目標を前倒しで達成予定~
まとめ
RE Actionとは、事業活動を100%再エネで行なうことを宣言し、再エネ利用を促進・実現する取り組みのことです。中小規模の企業や団体でも参加できる日本独自の枠組みとして2019年に発足しました。
日本国内の企業、医療機関、教育機関、自治体などの団体がRE Actionの対象となり、以下の3点が参加要件です。
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2050年までに使用電力を100%再エネにする目標の設定と公表
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再エネ推進に関する政策エンゲージメントの実施
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消費電力量や再エネ率などについて毎年の進捗報告
RE Actionに参加することで、企業のイメージアップや利害関係者へのアピールなどのメリットが得られるでしょう。持続可能な社会、脱炭素経営の実現は企業にとって喫緊の課題になっています。RE Actionへの参加を視野に入れながら、再エネによる電力調達方法を検討してみてはいかがでしょうか。
参考:【法人向け】自家消費型太陽光発電システムとは?基礎知識や導入のメリットなど解説
参考:再生可能エネルギー|概要や導入するメリットを紹介